9304 岡田大連立打診は唐突で疝気筋働きかけ  古沢襄

「大連立構想の壁高く…輿石氏、岡田氏に不信感」と読売新聞が政局記事を書いている。大連立に好意的だった読売も、ここにきてサジを投げた格好だ。
岡田副総理が自民党に打診した大連立構想は、唐突な疝気筋への働きかけと与野党ともに悪評サクサク。とうとう自民党と会ったこともないし、会ったこともないのに大連立の話がある筈もない・・・と打診工作を否定することになった。
それにしても野田・谷垣極秘会談、岡田大連立打診工作のいずれもが輿石民主党幹事長を無視した形で秘かに行われたのは問題だ。小沢一郎氏に近い輿石氏だから、これらの工作の裏には『小沢切り』があると見られても仕方ない。
<岡田副総理が自民党に打診した大連立構想は、2大政党の協力の下で消費税率引き上げを柱とした社会保障と税の一体改革を進められる利点がある反面、政策の一致など乗り越えなければならない課題は多い。
政府・民主党内では、政権のかじ取りをめぐり不協和音も生じている。
◆消費増税案
複数の自民党幹部によると、岡田氏が今月上旬に会談し大連立を打診した相手は、自民党の谷垣総裁に近い川崎二郎元厚生労働相とされる。岡田氏は消費税率引き上げ関連法案への協力と大連立の実現を呼びかけたが、川崎氏はまず衆院解散・総選挙を行うよう求め、折り合いがつかなかったという。岡田氏は、このほかにも町村信孝元官房長官ら自民党ベテラン議員と接触し、消費税法案への協力を呼びかけている。
衆参のねじれ国会の下で、野田首相が命運を懸ける消費税率引き上げ関連法案や、赤字国債の発行を認める特例公債法案の成立のメドは立っていない。自民党は消費税率を10%に引き上げることを公約に掲げた経緯があり、岡田氏も連携相手に最適だと判断したようだ。
岡田氏は19日付の自らのブログで、自民党への大連立打診を否定してみせたが、「今の政治の『ねじれ』の現状をみると、将来的には選択肢だと思う」と語った。民主党内では、平行線が続く衆院選挙制度改革や年金制度改革などについて、協議進展を期待する向きもある。
首相は消費税法案の成立に政治生命を懸ける覚悟を示している。2月25日に谷垣氏と極秘会談を行うなど、自らも動いてきた。首相就任前には大連立について「101回でもプロポーズしたい」と明言していた。
岡田氏の動きは、こうした首相の意を体したものとみられる。首相は今月18日に、首相公邸で会談した仙谷由人政調会長代行に対し、大連立の打診が報道各社で報じられたことについて「どうしてかなあ」と不思議そうに語ったという。
◆小沢系の反発
ただ、消費増税のため大連立に踏み切れば、民主党の小沢一郎元代表らが反発するのは必至だ。小沢グループからは「大連立は、体の良い『小沢切り』に過ぎない」との声が出ている。民主党内の結束を重視する輿石幹事長との間で、亀裂が生じかねないと懸念する向きもある。輿石氏が19日の那覇市での記者会見で「私どもから大連立をしますと発信した覚えはない」と語ったのも、小沢グループの反発を和らげる狙いがあるようだ。
輿石氏は、自らに相談なく岡田氏が自民党との接触を重ね、首相がこれを容認していることにも、不満と不信感を募らせているとされる。これに対し、藤村官房長官は19日の記者会見で「政界再編の話であり、(政策ごとの連携とは)全然違う次元の話。大連立はたぶん不可能だ」と語った。輿石氏らの反応を受け、沈静化を図ったとみられる。
◆次善の策?
一方、自民党内では、大連立に否定的な発言が相次いでいる。
「首相が本当に消費増税をやりたいなら、解散を決断する以外にない。野党が『いつでも助けてやるよ』ということでは、野田さんがギリギリの決断をするところまで行くはずがない」谷垣総裁は19日、党のインターネット番組でこう語り、衆院解散前の大連立には応じない考えを強調した。
自民党議員の多くは衆院解散・総選挙で第一党になり、政権復帰することを望んでいる。大連立への反対論が噴き出しているのは、「野田政権を延命させ、解散を遠のかせるだけ」と見ているためだ。衆院議員の任期満了ま1一年余りとなる中、公明党との選挙協力にヒビが入ることを懸念する向きもある。もっとも、仮に大連立が実現した場合、谷垣氏は副総理などで入閣し、政権に復帰できるため、9月の自民党総裁選で再選される芽が出てくる。谷垣氏周辺には「衆院解散が無理なら、大連立は次善の策」との声がある。(読売)
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