民主党のばらまき政策の典型の「子ども手当」が崩壊しました。子育てのためにかわって出てきたのが「新・児童手当」のようですが、基本思想が変わったようです。
次の読売新聞社説をみてください。「子ども手当は『社会全体で子育てする』という理念を掲げていたが、新手当は『子育ては父母が第一義的責任を有する』ことを基本に据えている」
やはりそうだったのです。民主党の子ども手当はジョージ・オーウェル的な全体主義国家の思想の産物なのです。子どもを育てるのは両親でも家族でもなく、まずは社会全体だというのです。
その点、こんどの児童手当は「子育ては父母が第一義的責任を有する」と明記しています。ごく当然で、常識的な思考です。
新・児童手当 民主が「看板」外せば前進する(3月17日付・読売社説)
遅きに失したものの、政府・民主党が「子ども手当」の看板政策を完全に取り下げた。民主、自民、公明3党は、新年度から導入される現金給付制度の名称を「児童手当」に戻すことで合意した。
新たな手当を支給するための法案は、ぎりぎり今年度中に成立する見通しだ。手当の仕組みが定まらずに、自治体の支給窓口などが混乱する事態を回避できた点は一応評価できよう。
民自公3党は、昨年8月に、一律支給の子ども手当を廃止することでいったん合意した。だが、政府・民主党は「子どものための手当」という呼称を用いた法案を提出し、子ども手当が存続するかのような印象を持たせた。
政権公約(マニフェスト)に掲げた「看板」にこだわったのだろう。そんな民主党の姿勢が、自公両党をいっそう硬化させた。
新手当は一律支給ではなく、子の年齢や人数、親の所得で支給額に差をつける。
子ども手当は「社会全体で子育てする」という理念を掲げていたが、新手当は「子育ては父母が第一義的責任を有する」ことを基本に据えている。
内容も理念も自公政権時の児童手当の延長線上にある。「児童手当」の呼称に戻ることは、妥当な決着だろう。だが、名称をどうするかの議論に多くの時間が空費されたことは残念だ。
新・児童手当の支給額は3歳未満が月1万5000円、3歳から小学生の第1子と第2子は月1万円、第3子以降は月1万5000円、中学生は一律月1万円だ。
自公政権の児童手当よりも手厚い。この額は、昨年10月から特別措置法で先行実施されている。疑問なのは、新たに導入する所得制限の基準である。
夫婦と子ども2人のモデル世帯で、支給が制限されるのは、親の年収が960万円以上の家庭だ。それも無支給ではなく、当分の間は子ども1人あたり月5000円を支給する。
約1割が所得制限の対象になるというが、これほどの年収のある親に月5000円を支給することで、どのような政策効果があるのか、首をかしげたくなる。
子ども手当のばらまき色が残る部分は、今後も与野党で見直すべきだろう。
新・児童手当の合意によって、与野党の協力を阻む障害が、また一つ取り除かれた。社会保障・税一体改革の建設的議論につなげてもらいたい。(読売)
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