9336 習近平を持ち上げるカメレオンぶりのクーン  宮崎正弘

『中国を変えた男 江沢民』の著者ロバート・ローレンス・クーン。今度は習近平を持ち上げるカメレオンぶり。
江沢民が中国を変えた?
そうたしかに。果てしなき混沌と不動産バブルの基礎条件をつくり、軍にすりよって反日を武器にナショナリズムを扇動して一流国家の指導者を装った。そういう意味で江沢民は「偉大」である。そして日本人を中国嫌いにした元凶となった。宮中晩餐会に人民服で登場し、歴史を鏡とする演説をなして江沢民は傲慢にふんぞり返った。
この江沢民を偉大な指導者とたたえ英語の伝記を書いた男がいる。その原作は日本語にも翻訳されたが、まったく注目されずに書店からは消えた。
著者はロバート・ローレンス・クーンといって機関投資家、金融理論家である。『中国指導者は何を考えるか』という著作もあるが、別の顔は米国における中国の代理人。

二月の習近平訪米時、舞台裏でオハイオ州、カリフォルニア州における「微笑外交」の演出を巧妙にアドバイスした。
そのクーン、今度は習近平へ取り入った。
「彼はシステム、言語、ビジネス習慣、風俗が異なる福建省、浙江省、そして上海特別市と三つの行政機関のトップをつとめた。これはヨーロッパでたとえるなら三つの国で首相を務めたと同義語である」
「習近平がモットーとしているのは『誇りを持ち、自己満足せず、横柄にならず、実務的であり、従属せず、常に正統を心がけよ』とするもので高い地位を誇らず、党を率いながらも確実に着実に変化を求めていくだろう。
保守派や批判者がいうように臆病で大胆なことが出来ないというのではなく、習近平は地殻変動的な変革を、こつこつと焦らずにやり遂げる。現状維持が目的ではなく、かと言って変革の方向性はまだ見えていないが、確実なのは毛沢東時代への郷愁はないし、ポピュリズムにおぼれて、カルト的な個人崇拝をもとめる政治スタイルを採用することもないだろう」(ヘラルドトリビューン、3月25日付けコラム)。
カルト的個人崇拝は、ネット情報の発達した中国で、もはやあり得ない(日本の橋下狂乱ブームのほうが危険だ)、ポピュリズムが中国政治の主流になると勘違いした薄き来はすってんころりんと失脚したように、この分析はアナクロではないのか
杜父魚文庫

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