英ロイターは米国が弾道ミサイル防衛のためのシールド(盾)を、新たにアジア・中東の両地域に構築することを検討していると報じた。このシールドはイランや北朝鮮などの国の脅威から身を守ることだけが目的だと米国は説明している。
政治的な狙いとしては、イスラエルのイラン攻撃をさせない効果があるかもしれないが、日本にとっては北朝鮮のノドン・ミサイル攻撃を抑止する効果があるか疑問が残る。費用の面でも地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の発射機やレーダーなど関連装備の配備強化の方が効果的ではないか。
とくに日本は操業を中止している原発を狙ってノドン・ミサイルを撃ち込まれれば、核ミサイルと同じ被害が想定される。射程20キロのPAC3を原発周辺に重点配備しておく防衛措置の方が先決ではないか。現在、日本が保有しているPAC3の数では不足する。
テポドン・ミサイルの脅威に曝されている米国が、自己責任でアジア地域の弾道ミサイル防衛シールドを構築するというのなら別だが、そうではあるまい。日・韓・豪と協議するというのは、応分の負担を求めるということであろう。
<[ワシントン 26日 ロイター] 米国が、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国で進めるミサイル防衛システムに似た弾道ミサイル防衛のためのシールド(盾)を、新たにアジア・中東の両地域に構築することを検討していることが明らかになった。
米国防総省のクリードン国防次官補(グローバル戦略担当)が、同省ミサイル防衛局が共催した会合で語った。
米国は新たな防衛網について、イランや北朝鮮などの国の脅威から身を守ることだけが目的だと主張しているが、こうした計画は米国とロシア・中国との関係をこじれさせる恐れもある。
同次官補によると、米国は米・日・豪および米・日・韓という2つの三国間協議を通じて防衛シールド建設計画を進める方針。こうした防護壁が完成すれば、日本や韓国やオーストラリアは近隣のイランや北朝鮮からの予測される脅威への対抗がしやすくなり、また米国にとってはイランや北朝鮮が開発する恐れのある長距離ミサイルからの防衛につながると説明した。
また新たな防衛シールドについては、欧州のミサイル防衛システムが採用する「段階的適応アプローチ」を手本としたい意向を示した。欧州では同アプローチに基づき、NATO加盟国であるポーランドとルーマニアに迎撃ミサイル、トルコにレーダー、スペインにイージス艦を配備することで、弾道ミサイル防衛能力の段階的な向上が図られている。(ロイター)>
杜父魚文庫
9350 米国、アジア・中東でミサイル防衛シールド構築? 古沢襄

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