北朝鮮の長距離弾道ミサイルを迎撃する能力は、韓国軍のPAC2改良型地対空ミサイルでは限界があるので、在韓米軍のパトリオットPAC3ミサイルに依存するしかないと韓国の朝鮮日報が報じている。しかしパトリオットPAC3ミサイルとて、軌道を外れて制御不能となった北朝鮮弾道ミサイルを正確に捉えて迎撃・撃破するのは困難だと軍事専門家は指摘している。
韓国が保有するPAC-2形態はのミサイルは湾岸戦争で初めて使用され、イスラエルやサウジアラビアへ発射されたスカッドミサイルを迎撃した。それぞれの迎撃率は、アメリカ軍の発表によればサウジアラビアで70%、イスラエルで40%。実際にはこれよりも低い確率だったのではないかと見られている。
PAC-3ミサイルは、弾道ミサイルへの対処能力を本格化するため、能力向上を図った形態。射程20キロから35キロだといわれている。しかしパトリオットPAC3ミサイルは大気圏外を飛翔して超高速で落下するテポドン・ミサイルには迎撃率が低くなる。むしろ射程1500キロのノドン・ミサイルの方が迎撃率が高いという。
ここで世界の軍事専門家から注目されているのはイスラエル国産のロケット弾迎撃システム「アイアンドーム」。昨年4月から実戦配備され、パレスチナ自治区ガザの武装勢力が発射したロケット弾の迎撃成功率は85・7%に達した。 (63発のロケット弾を迎撃、54発を破壊)
最大射程70キロのロケット弾などの軌跡をカメラとレーダーで追尾し、発射から数十秒以内に空中で迎撃する。イスラエル軍は三基が実戦配備され、四基目も近く配備される。
韓国のように北朝鮮の射程距離が短いスカッド・ミサイルに対処するためには「アイアンドーム」の導入が有効かもしれない。イスラエル・ニュースによれば、韓国から「アイアンドーム」の引き合いが来ている。米軍もイラク、アフガンの防衛ミサイルとして「アイアンドーム」を検討しているという。
<国防部(省に相当)は26日、来月半ばに発射される北朝鮮の光明星3号(テポドン2号)が正常な軌道から外れ、ロケット1段目の破片などが韓国の領土に落下する場合に備え、これを要撃する対策を研究していることを発表した。
しかし現在のところ、韓国軍のミサイルには限定的な要撃能力しかなく、本格的な要撃ミサイルは持っていないため、実際の要撃手段は米軍に依存しなければならないと指摘されている。
国防部の関係者は、26日の定例ブリーフィングで「北朝鮮が予告したミサイル(長距離ロケット)の軌道が、正常な軌道から外れ、ミサイルの推進体が地上に落ちてくる万一の場合に備え、軌道の追跡と要撃ができる対策を研究している」と語った。
この関係者は、韓国軍の要撃位置について「基本的には、ロケット1段目が落ちてくる地点。ロケットが予想の軌道から外れるケースに備えているとみていい」と語った。これは、光明星3号のロケット1段目が、北朝鮮の予告した辺山半島西方140キロの海上を飛ぶコースから外れ、韓国の陸地や領海に落ちる場合、その要撃を試みるという意味だ。韓国軍当局が光明星3号要撃問題に公の場で言及したのは、今回が初めて。
韓国軍当局は、西海(黄海)海上では韓国型イージス艦「世宗大王」と「栗谷李珥」に搭載されているSM2艦対空ミサイル(射程170キロ)を使い、地上では限定的なミサイル要撃能力を持つパトリオットPAC2改良型地対空ミサイルを使用する案を検討しているという。
しかしこれらのミサイルは、本来は航空機を撃墜するために作られたもので、音速の数倍というスピードで落下するロケットの破片を正確に破壊するには限界があると評価されている。
このため韓米両国は、弾道ミサイル要撃能力を持つ在韓米軍のパトリオットPAC3ミサイルと、米第7艦隊所属のイージス駆逐艦に搭載されているSM3要撃ミサイルで支援する案を協議している。
米国は、北朝鮮の光明星3号発射に先立ち、第7艦隊所属のイージス駆逐艦を西海に展開させ、烏山・群山・倭館基地などに配備されているパトリオットPAC3ミサイルの一部について、配備先を変える案を検討しているという。(朝鮮日報)>
杜父魚文庫
コメント