野田政権が一部原発の再稼働に踏み切ろうとしている。その一方で菅前首相ら民主党の有志議員ら約25人が「脱原発ロードマップを考える会」を近く発足、再稼働にストップをかける動きが急となった。
全国の原発54基のうち53基が停止している。一つだけ動いている北海道電力の泊原発も5月5日に停止する。「稼働原発ゼロ時代」を迎えようとしている中で、夏の電力不足を懸念する声があがっている。
原子力安全委員会は関西電力の大飯3、4号機(福井県)について「ストレステストの1次評価は妥当」と認めた。これを受けて、野田首相と枝野経済産業相ら関係3閣僚が「稼働しても問題はない」と判断し、地元の理解を得る段取りを考えている。
電力業界には「大飯をきっかけに順次、原発を再稼働させたい」という思惑が浮上している。逆に原発を抱える地元市町村には不安感が漂う。
消費増税で揺れた民主党だが、原発再稼働という新たな政治課題に直面したといえよう。この情勢下で前原政調会長は、5月に国内のすべての原発が停止する前に、政府が大飯原発などの運転再開に踏み切る可能性に言及した。
前原政調会長は、講演で「54基のうち、一つだけ動いている泊原発が5月5日に停止する」と説明したうえで、「それまでには原発の再稼働が計られるのではないか」と見通しを示した。
ストレステストの結果が妥当と評価された大飯原発3、4号機や、評価がまもなく終了する伊方原発3号機を念頭にした発言とみられる。脱原発が看板だった菅前首相にとって、容認できない野田政権の動きだから鋭く反発する政治情勢となった。
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