政界”震度5クラス”の地揺れが民主党を襲った。消費増税関連法案の閣議決定に抗議して黄川田徹総務副大臣、森裕子文部科学副大臣、牧義夫厚生労働副大臣、主浜了総務政務官の政務三役4人が野田首相に辞表を提出、さらに松崎哲久、横山北斗、中村哲治、階猛の4政調副会長も辞表を提出。石山敬貴、大谷啓、笠原多見子、木内孝胤、菅川洋、友近聡朗の各政調会長補佐も辞表を提出した。
本格的な”震度7クラス”の大地震は、小沢裁判の判決がでる四月二十六日以降のことになるが、小沢一郎元代表は野田内閣の倒閣の意志を固めたといわれる。野田首相は受けて立つ構えで、水面下で自民党の協力を得て、法案成立の中央突破を目指そうとしている。
小沢氏に近い輿石幹事長は小沢系議員の辞表騒ぎが、これ以上広がらないように慰留に努めるつもりだが、週明けに鈴木克昌幹事長代理、樋高剛総括副幹事長も辞任の意向を固めた。
野田首相は近く自民党の谷垣禎一総裁に党首会談を呼び掛け、与野党協議を求める意向という。自民党内は民主党内の亀裂が予想を上回るテンポと広がりをみせていることから、早晩、野田政権は立ち行かなくなるという観測が強くなり、衆院解散に向け攻勢を強める方向にある。
その一方で森元首相らは、法案成立への協力と引き換えに首相が早期の解散を確約する「話し合い解散」や民主、自民両党による大連立構想を模索する。和戦両様の構えだが、受けて立つ野田首相は早期解散には否定的。その背景には国政進出を準備している大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)が、総選挙となれば無党派層の支持を得て、予想以上の議席を獲得する”漁夫の利”を得るおそれがあるからだ。
民主党内には橋下人気が一時的なものであり、候補者も選挙地盤も固まっていないことから、解散は2013年夏の任期一杯近くまで引っ張り、橋下人気が下降するのを待つ意見が台頭している。
この解散先送り論は自民党の早期解散要求と正面から対立する。橋下新党の影響力についても自民党は近畿圏の一部にとどまり、むしろ大阪維新の会が各選挙区の候補者を絞り込む前に解散に持ち込む早期解散論が強い。
谷垣総裁は野田首相が早期解散に踏み切り、選挙後の自民・民主大連立で消費増税法案の成立を図る意向だという。消費増税関連法案の閣議決定で大きな山がひとつ越えたかに見えるが、むしろさらに高い山の峰が聳えているのが現状ではないか。
<民主党の小沢一郎元代表に近い黄川田徹総務副大臣、森裕子文部科学副大臣、牧義夫厚生労働副大臣、主浜了総務政務官の政務三役4人は30日夜、首相官邸を訪れ、消費増税関連法案の閣議決定に抗議するとして、秘書官を通じて野田佳彦首相に辞表を提出した。
この後、牧氏は記者団に「デフレ状況下での増税は景気を収縮させる。政府の一員として国民に説明を続けることは困難だ」と理由を説明した。
民主党内でも元代表に近い松崎哲久、横山北斗、中村哲治、階猛の4政調副会長が辞表を提出。鈴木克昌幹事長代理、樋高剛総括副幹事長も辞任の意向を固めた。鈴木氏は30日夜のBSフジの番組で「週明けになるが、改めて輿石東幹事長のところに行く」と述べ、近く辞表を提出する考えを明らかにした。
さらに、石山敬貴、大谷啓、笠原多見子、木内孝胤、菅川洋、友近聡朗の各政調会長補佐も辞表を提出した。(時事)>
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