9387 「石原新党」動き加速 消費税攻防見極め“勝負”  古沢襄

五月には”石原新党”が結成される見通しが強い。新党構想の一翼を担う「たちあがれ日本」の平沼赳夫代表がNHK番組で明かした。連立離脱の派手な動きをみせた国民新党の亀井静香代表も石原新党を見据えた行動だとされる。
この新党構想の主導権はたちあがれ日本の園田博之幹事長らだという。石原氏とも小沢一郎氏とも仲がいい亀井氏はこの両者をつなげる橋渡しをする意欲がある。だが石原氏の眼中には大阪維新の会を率いる橋下徹大阪市長と愛知県の大村秀章知事を加えた「3大都市圏連合」の結成があって、小沢氏との提携はない。
このところ政治的な影響力の低下がいわれる小沢氏と亀井氏だが、石原新党からお呼びではないという観測が強まっている。
<東京都の石原慎太郎知事を代表とする新党結成の動きが加速し始めた。石原氏は、大阪維新の会を率いる橋下徹大阪市長と近く会談を予定しており、愛知県の大村秀章知事を加えた「3大都市圏連合」も本格化しそうだ。
こうなると焦点は結党時期。石原氏は4月中に構想をガッチリ固め、5月の消費税増税関連法案の与野党攻防の行方を見定めて一気に勝負をかける腹づもりのようだ。そうなると盟友の亀井静香国民新党代表はやはり「置いてけぼり」となりかねない。(今堀守通、斉藤太郎)
「4月中にいろいろな動きが出てくるのではないか。石原さんは79歳だけどお元気だ。どうしても自分はやるという決意は固い」
新党構想の一翼を担うたちあがれ日本の平沼赳夫代表は1日、NHK番組でこう明かした。「謀は密なるをもって旨とする」を信条とする平沼氏としては踏み込んだ発言だといえる。
その石原氏は4日に大阪入りし、橋下氏と会談を調整中。3月30日の記者会見では「新党を作るならば船中八策を作らないといけないと言ったが、大阪の方にさっさと取られちゃった」と述べており、政策面で連携を具体化させる考えのようだ。衆院選後の連立にまで踏み込めば新党への期待はさらに高まる。
とはいえ、結党時期はなお定まらない。衆院選の見通しが立たないこともあるが、それだけではない。
たちあがれ日本はサンフランシスコ講和条約発効60周年となる28日に自主憲法草案の発表を予定。6月上旬には都内のホテルでパーティーを計画する。石原氏は平成32(2020)年東京五輪を目指し、5月のIOC(国際オリンピック委員会)理事会に向け、誘致活動を本格化させる必要がある。平沼、石原両氏の日程調整は至難の業なのだ。
そんな中、亀井氏は1日のフジテレビ「新報道2001」で「新党は日本の政治を動かす圧倒的な勢力になる。ほらを吹いているのではない。時代の要請だ」と息巻いた。結党時期についても別の番組で「5月かもしれないが、そこはわからんよ」と語った。
連立離脱騒ぎの収拾がつかない中、新党への意欲をますます強めたようだが、これまで結党時期を「昨年12月」「3月」「4月」と公言し、修正を繰り返してきただけに周囲の目は冷ややかだ。橋下氏側近は3月末、国民新党幹部に「勝手な行動ばかりする亀井氏とは組みたくない」と通告した。新党構想の主導権はたちあがれ日本の園田博之幹事長らに移っている。
しかも亀井氏が示唆する「5月結党」ならば亀井氏は窮地に陥る。消費税増税関連法案の与野党攻防に決着がつかない中、石原氏が「今国会でケリをつけよ」と号令を下せば、民主、自民両党から「増税賛成派」が新党に糾合する可能性が大きいからだ。「増税反対」で小沢一郎元代表との連携を視野に入れる亀井氏の居場所はなくなる。
亀井氏に批判的だった閣僚まで亀井氏を哀れんだ。「亀井氏は判断を誤り過ぎている。小沢氏に使い走りとして利用されただけじゃないか…」(産経)>
<国民新党の亀井静香代表は1日、石原慎太郎東京都知事を党首とする新党を5月中旬にも結成する考えを示した。同党は消費税増税関連法案に反対して亀井代表が連立政権離脱を表明する一方、下地幹郎幹事長らが「維持」を主張し分裂状態で、新党結成を急ぎ、正式に離脱する考えとみられる。一方で与党なのか野党なのか不明確な現状には批判も出ている。
亀井代表はフジテレビの番組で、司会者から新党結成は5月中旬頃かと聞かれ「日本は待ったなしの事態。1カ月も2カ月も放っておくわけにはいかない」と説明。当初は「桜の咲く頃には永田町の景色は一変する」と、3月中の結党を目指していたがずれ込んでしまった。この日はNHKの番組などにも出演し、「桜が咲く時期は地域によって違う」などと釈明した。
新党の規模については「日本の政治を動かす圧倒的な力になる」と強調。橋下徹大阪市長ら首長との連携を念頭に「大阪、愛知、東京から国政を変える努力をしようという声が上がっている。そのエネルギーを結集したい」と述べた。民主党の小沢一郎元代表についても「お互い抽象的な議論をしている場合じゃないという思いは強い」と述べ、秋波を送った。
また、連立維持の可能性については「ありません」と強調。藤村修官房長官が連立政権は維持されているとの見解を示したことに「他党に手を突っ込むことはやめてほしい」と不快感を示した。
たちあがれ日本の平沼赳夫代表は石原、亀井両氏と連携する新党構想に関し「4月中にはいろんな動きが出てくる」との見通しを示した。
亀井代表は3月30日に野田佳彦首相と会談し、連立離脱を表明。しかし、同調するのは亀井亜紀子政調会長だけで、下地幹事長、自見庄三郎金融担当相ら6人は「維持」を主張している。
関係者は「新党が実現するまで連立政権に残り、結成後、正式に離脱すればいいという考えだろう」と解説。しばらくは下地氏らが「連立与党」議員としての活動を続け、亀井代表らは野党的発言を続ける見通し。
だが代表と幹事長の発言や対応が異なる事態が長期化すれば批判が強まるのは必至だ。民主党内からも「首相や藤村官房長官が何もなかったかのように“連立維持”を言い張るのはご都合主義ではないか」(中堅議員)との疑問が出始めている。
▼日大法学部岩渕美克教授(政治学)亀井代表は増税反対、石原氏は賛成で正反対だが、政策面ではなく政治理念でつながっている。保守のイデオロギーだ。橋下氏とは君が代の起立斉唱などで共通理念があり、連携を模索している。ただ、亀井代表の政治的影響力の低下が顕著で、新党構想自体がずれ込んでしまっている印象だ。(スポニチ)>
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