9394 書評『中国美女の正体』 宮崎正弘

熟女ふたりが共鳴しあった中国人女性の人生観と救いがない拝金主義。この精神風土では本物の恋愛が育つはずがない。
<<宮脇淳子vs福島香織『中国美女の正体』(フォレスト社)>>
こちらは燃える女性ふたりの中国談義。とりわけ「美女にはお気をつけ遊ばせ」と中国通の二人の才媛が共通認識で力説されるのだが、日本人男性よ、この警告をどう聞くか。
中国人の恋愛観というのは即物的かつ、カネ次第。結婚はもちろんカネが目的。マンションとクルマとアイフォンを持っていないと結婚対象とは見なされない。はじめから終わりまで、あたまのてっぺんから足のつま先まで、カネ、カネ、カネの打算。
だから中国には恋愛小説がない。恋愛映画もない。最近、若い女性作家が恋愛小説らしきものを書いたり、「初恋」の美しい物語が映画になったりしているが、あれは全部日本の真似で、「かくあれかし」と思うからこそ。
かくして本書ではホンネだけがずらりと並び、ホンネいがいのことはまったく語られていないという異色の対談。もちろん著者らは日本論壇でも異色のふたりですからね。
第一の興味。中国では美人はどこにいるか? 
四川省と河南省。北はスタイルのよい女性が多い。反対に国際都市の上海はブスが多く、たいがいは整形美人の由。(うぅん、さもありなん)と思わずうなずいた。
第二の興味。中国の女性がいかにして日本男性をたらしこむかの手口。『携帯電話買って』から始まり、「あなたともっとコミュニケーションがとりたい」といって日本語学校の学費をせびる、次は「お父さんが病気になった」。
つぎつぎと果てしなくカネがつきるまで。(しかし、こんな手にひっかかる男って、日本でも経験が薄いか、ないか?では)。
第三の興味。中国社会における女の位置は「子供を産んで、それも男子を産んで家庭の居場所を確保することにある」
福島さんがこう言う。「ホリエモンが『愛情は金で買える』と言いましたよね。日本人にしてみたら『なかにはそんな女もいるよね』というくらいですが、実際にそんな女が多いのは中国です」 
宮脇さんが答える。「お金はないよりあった方が良いし、それでたくさん愛情を表現してくれるのなら、向こうの女性にとってそんなに嬉しいことはないでしょう」。
福島 「日本の男性の顔がパスポートに見える(日本国籍取得が人生の目的だから)」、だからじじいでも醜男でも、「背が低くても、肥満でも、『顔なんて、全員パスポートに見えるから』」と、ここまで凄まじい日本のブランドへの憧れに爆笑、やがて哀切が襲う。
 
宮脇さんがこう続ける。「中国人と日本人は見た目はそっくりですが、精神世界はまったく違う」。そう、そのことさえ飲み込んでから中国人女性とつきあえば、騙されることはない。赴任する日本人男性への注意書きではない。本書の狙いは、こういう目線から中国人女性の生き様を通して迫る日中文化比較論なのである。(評者の独白 お二人とは飲む機会も多いのですが、とくに宮脇女史にはいつもタジタジです)。
杜父魚文庫

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