民主党や自民党にとって何とも気になる石原慎太郎東京都知事と橋下徹大阪市長の大阪会談。四日、大阪市内のホテルで行われた石原・橋下会談は約二時間だったが、会談後、二人とも記者団の質問に答えず、ホテルを後にした。
石原東京都知事がわざわざ大阪に出向いたことからして、単なる話し合いではなかったのは当然ながら想像できる。消費増税法案と解散・総選挙をめぐる政局観のすり合わせをしたのであろう。その先には新党樹立の時期、政策、候補者擁立などがあるから、今は何も言えないということになる。
<東京都の石原慎太郎知事と地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹大阪市長が4日、同市内のホテルで会談した。国政の現状や次期衆院選を見据えた連携の可能性について、意見交換したとみられる。
石原氏をめぐっては、同氏を党首とする新党構想が浮上。一方、橋下氏は維新の会の国政進出をにらみ、3月に約2000人が参加する「維新政治塾」をスタートさせたほか、衆院選向け公約「船中八策」の策定作業を進めている。(時事)>
もうひとつのニュース。
<政府は4日午前の持ち回り閣議で、黄川田徹総務副大臣ら政務三役4人の辞任を了承した。野田佳彦首相は同日午後に政府・民主三役会議を開き、後任人事を含めて今後の対応を協議する。
辞任が了承されたのは、黄川田氏、森裕子文部科学副大臣、牧義夫厚生労働副大臣、主浜了総務政務官。黄川田氏らは消費増税関連法案の閣議決定に抗議し辞表を提出。藤村修官房長官らは慰留していたが、4人とも拒否。また、自民党が進退が不明確なままでは国会審議に応じない構えを示したため、藤村長官らも説得を断念した。(時事)>
一見すると関連性のない情報とみれるが、いまの流動的な政局を読み取るのに必要な出来事である。
辞任を表明した小沢グループの政務三役4人の説得を断念した野田政権が自民党との提携に一歩踏み出した・・・と単純に思うのは単細胞過ぎる。事実、輿石幹事長は30人を越える小沢グループの辞表を”預かり扱い”にして、党内の亀裂を避けるため消費増税法案の継続審議を模索している。
野田首相、岡田副総理、藤村官房長官は、四月中に法案の審議入りをしたいと党側にせっついているが、輿石幹事長、樽床幹事長代理は法案の審議入りは五月の連休明けとすげない。そのうちに六月二十二日の会期末が迫ってくる。早くも大幅会期延長論がでる始末だ。
その足元をみて自民党の石原幹事長は、野田首相が小沢元代表との決別や解散時期を明確にすれば「自民党が賛成して成立する芽が出てくる」と”くせ球”を投げてきた。谷垣総裁も二日の講演で「話し合い解散」を排除しない考えを示唆している。法案成立前の解散を主張してきたこれまでの姿勢が少し変わったと民主党は淡い期待を抱いている。
だが一筋縄ではいかないのが政局である。野田・谷垣が手を結んで法案を成立させ、間を置かずに解散。総選挙というシナリオはまだ描かれていない。石原・橋下が夏の総選挙を描いて、新党を早々と立ち上げると、肩すかしを食う公算がある。みすみす新党に塩を送る民主党でも自民党でもない。
野田首相は新党の準備が整わない抜き打ちの話し合い解散を念頭に置いているのだろう、そうはさせまいというのが、輿石幹事長。まさに一本の狭い橋を野田首相は渡ろうとしている。
杜父魚文庫
9404 石原・橋下大阪会談の波紋 古沢襄

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