ソウルから黒田勝弘氏が韓国の総選挙について「北情勢にも大きな影響 韓国総選挙、保守の危機」とする観測記事を送ってきている。
各種世論調査によると与党セヌリ党(旧ハンナラ党)は、過半数(151議席)割れは確実な情勢。代わって最大野党の民主統合党が第1党になり、協力関係にある急進派の統合進歩党を合わせた野党陣営が過半数を占める勢いだという。
黒田氏によると選挙では“ロケット打ち上げ”など北朝鮮問題や外交問題はほとんど争点になっていない。野党陣営はもともと、反米・反日・親北の色合いが強く、とくに対北朝鮮政策では金大中・盧武鉉政権を受け継ぎ支援・協力・交流推進を強く主張している。
韓国での親北・左派勢力の野党が勝利すれば、金日成誕生100年で金正恩体制固めを急ぐ北朝鮮に対する“祝賀メッセージ”になる。
このような政情を迎えたのは、今回の選挙で保守系諸派が乱立し保守票が分散する一方、野党陣営が統一候補など選挙協力で接戦に勝とうとしていると黒田氏は分析した。
<【ソウル=黒田勝弘】韓国の総選挙は11日、与野党接戦が伝えられる中、投票が行われる。野党陣営が勝利した場合、今後の韓国と北朝鮮の関係や日米韓協力体制など、朝鮮半島情勢にも重大な影響が予想される。
韓国での親北・左派勢力の野党勝利は、金日成誕生100年で金正恩体制固めを急ぐ北朝鮮に対する“祝賀メッセージ”になる。年末の大統領選でも親北・左派勢力による政権奪回につながる可能性が強く、保守陣営には危機感が高まっている。
与野党は選挙最終日の10日、地域区246議席の半分近い112議席を占め、勝敗の決め手になるソウル首都圏で遊説合戦を展開した。とくに与党セヌリ党(旧ハンナラ党)は朴槿恵選対委員長を先頭に巻き返しに必死だが、北朝鮮は彼女を「極悪な対決狂信者」(9日の労働新聞)と名指しの非難を繰り返し、こちらは野党支援に懸命だ。
韓国国会はこれまで保守のセヌリ党が過半数を占めてきた。しかし各世論調査によると今回、過半数(151議席)割れは確実な情勢。代わって最大野党の民主統合党が第1党になり、協力関係にある急進派の統合進歩党を合わせた野党陣営が過半数を占める勢いだ。
選挙では“ロケット打ち上げ”など北朝鮮問題や外交問題はほとんど争点になっていない。辛うじて米韓自由貿易協定(FTA)をめぐって賛成の与党と反対の野党が対立している。
しかし野党陣営はもともと、反米・反日・親北の色合いが強い。とくに対北朝鮮政策では金大中・盧武鉉政権を受け継ぎ支援・協力・交流推進を強く主張。北朝鮮による韓国哨戒艦撃沈や延坪島砲撃などの“軍事挑発”についても、北朝鮮と対話しない李明博政権に責任があるとしてきた。
日米など国際社会による対北制裁にも批判的だ。
李明博政権の任期は実質的には大統領選がある年末までだが、国会が野党過半数になった場合、政権運営はマヒ状態となる。野党陣営は米韓FTA破棄・再交渉を主張しており対米関係悪化は避けられない。北朝鮮をめぐる日米韓協力体制も足を引っ張られそうだ。
保守派は今回の選挙で保守系諸派が乱立し、保守票が分散することにもイラ立ちがある。野党陣営が統一候補など選挙協力で接戦に勝とうとしているのとは対照的で、危機感は深い。(産経)>
杜父魚文庫
9449 「北」情勢にも大きな影響 韓国総選挙、保守の危機 古沢襄

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