9472 鳩山氏イラン訪問に関する各紙の評価 阿比留瑠比

私は、もう1年半以上前の2010年9月26日付の産経コラム「日曜日に書く」に「鳩山前首相に引退を勧める」という記事を書き、「ここらできれいに政界から身を退いたらどうだろうか」と訴えました。また、昨年2月15日付には政治面トップで「鳩山氏『政権の難敵』」という記事を書き、「引退を撤回し、首相の足を引っ張る形でひたすら影響力を行使する。事例は枚挙にいとまがない」と記しました。
私はこの「ルーピー」と命名された人物を決して軽んじているのではないのです。むしろ、その触れるものすべてを台無しにする強大な破壊力や、秩序や人倫を根こそぎ無力化するような神通力を心底恐れているのです。小泉純一郎元首相はかつて「自民党をぶっ壊す」と述べましたが、ルービーは日本そのもの壊しかねない、いやもしかすると世界全体すらおかしくしかねないという恐怖を覚えるのです。
なまじキャラクターに笑える要素があるので、かえってその危険性が軽視されている部分もあるんじゃないかと思うのです。
ただ救いは、この人に対する評価は新聞各紙とも論調や立場の相違を超えてほぼ一致しているように見えることです(地元紙の北海道新聞は日ごろ読んでいないのでよく分かりませんが)。今回のイラン訪問について、スクラップをしながら目について各紙の評価は以下のようなものでした。備忘録も兼ねて抜き書きしておきます。
10日付読売社説『危うい理屈で国益を損ねる愚』…《鳩山氏の訪問がイランの核開発の正当化に利用されたのは否定しようがない》《鳩山氏には、日本外交を側面支援したいという身勝手な思惑があったのだろう》《鳩山氏は、能力的にも性格的にも、外交に関与してはならない政治家だ。そのことを、一日も早く本人が自覚してもらいたい》
11日付朝日社説『もう、見ていられない』…《これは外交と言えない。鳩山元首相はいったい何をしに、イランに行ったのか。残ったのは「言った、言わないの空騒ぎだけだ」》《「首相経験者として国益のために働くことができるのではないかという思いから、このタイミングで行かせていただいた」と説明するだけだ。さっぱり意味が分からない》《現下のイランに、のこのこと出かけて行くのは百害あって一利なしだ》《そもそも鳩山氏は外交を何だと心得ているのか》《もう外交にしゃしゃり出るべきではない。お騒がせは、たくさんだ》
11日付産経社説「最高顧問を解任すべきだ」…《鳩山氏は2月、民主党最高顧問として外交担当を任じられている。与党・民主党はこの肩書を取り上げるべきだ》《先月訪中した際には、輿石東民主党幹事長ら党訪中団と同じ日に習近平国家副主席と別個に会談した。こうした「分裂外交」が国益を毀損していることを野田首相は思い知るべきだ》
11日付毎日1面コラム「余録」…《鳩山由紀夫元首相の善意ではあっても責任感の底が抜けたような言動》《何しろ周囲には「そうすればこうなる」のが明らかで、「おやめなさい」との声がわき上がる中での「飛んで火に入る夏の虫」だ》《いやはや、とんだイランとのパイプ役である》《イラン政府に抗議するはめになった自身の失態をはじめ無用の混乱をもたらしただけだった》《元首相の威光もこんなふうに用いられるのは心外だが、この肩書だけは取り上げられないのが困ったところだ》
11日付朝日1面コラム「天声人語」…《のこのこ出かけ、海千山千の相手に「鴨葱」を地でいくように利用されかけた》《鳩山さんは退陣後も川柳欄をにぎわす人気者だ。「出てきては政治を引っ掻き回すハト」「口害が糞害よりもひどい鳩」。まだまだある》《僭越ながらそろそろ晴耕雨読はいかがだろうとも思う》
……これらの新聞報道を総合すると、鳩山氏は「能力的にも性格的にも外交に関与してはならない身勝手な思惑の持ち主で、その主張はさっぱり意味が分からない責任感の底が抜けた百害あって一利なしの存在であると。さらに、飛んで火に入る夏の虫でもネギを背負った鴨でもあり、口害は糞害よりもひどく無用な混乱をもたらすのにしゃしゃり出てくるので、肩書を取り上げて晴耕雨読の生活を送らせるべきだ」ということですね。
なるほど。全くその通りだと思います。でも、ここまで書かれてもご本人は「鳩山頑張れ、という叱咤激励の思いをいただいた」とでも受け止めるのでしょうね。全く、どうしたらいいのだろう。やっぱり、選挙しか…。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました