ハト・カン・ノダ”お粗末”民主党政権を選んだ有権者は誰なの!と言いたくなる。世間では石原新党や橋下維新の会に期待が集まっているが、これらの新党は国会に議席を持っていない。いまのところ”犬の遠吠え”なのだから、民主党の輿石幹事長は「維新の会は、民主党政権ではこれからの日本はダメだと、政権を打倒するとこういう風に明言されているわけですから、それはきちっと受けて立つ」と言わせてしまう。
「きちっと受けて立つ」を翻訳すれば、解散・総選挙はやらない、来年まで引き延ばすという宣言なのだろう。そのうちに”犬の遠吠え”も低くなり、新党に対する期待も雲散霧消するという開き直り発言とみえる。浅はかな思考である。
そこで秘かな期待は小沢グループの造反。だが選挙となれば、選挙地盤が固まっていない一年生議員が多い小沢グループだから、造反の反逆心は千々に乱れる。民主党内のクーデターはあまり期待しない方がいい。
つまりは打つ手がないのだから、国民の閉塞感が募る一方となる。5・15事件や2・26事件は、このような世相を反映して発生している。軍部がファシズム国家を目指してクーデターを起こしたわけではない。むしろ5・15事件や2・26事件を鎮圧する側に回っている。鎮圧したから軍部の発言力が強まったという脈絡になる。
当時の新聞論調を読み返してみると、むしろ決起部隊の将校たちに同情する声がみられる。東北の農村で身売りする妹たちがいる兵士たちに同情した若手将校が、昭和維新を叫んで無謀なクーデターに走った。そして軍事裁判にかけられて、銃殺刑に処せられた。
今の世相は2・26事件の前夜に類似している。根っこのところには、政治の無策と広がる格差という危機的状況が進んでいることがある。それが橋下人気や大阪維新の会がもて囃される遠因となっている。八〇歳の石原東京都知事に期待が集まる原因でもある。
解散・総選挙はやらないのが「きちっと受けて立つ」のなら心得違いも甚だしい。むしろ今こそ解散・総選挙をやって、閉塞感に包まれた民意をくみ上げる時ではないか。それをやらないで、ダラダラとした無策の政治を続けることの方が民主政治の危機を増幅させる。そうでないと本当に不幸な2・26事件を招いてしまう。
杜父魚文庫
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