9518 問責決議案の提出と「ローチ尊師」との対話 阿比留瑠比

本日18日は田中直紀防衛相と前田武志国土交通相への問責決議案が参院に提出されました。まあ当然と言えば当然ですね。中には「問責乱発が過ぎる」との見方もあるようですが、相手があれでは仕方がないというか、むしろ提出されて当然というのが素直な見方であると思います。
民主党政権はもうとっくに「終わっている」というのが率直な実感です。ただ、だからといって、衆院解散・総選挙となれば負けるのがわかりきっているので、野田佳彦首相も民主党議員も解散は引き延ばしたい考えのようです。無意味な延命は弊害を生み、国の立ち直りを阻害するだけで有害無益だというのは、前の首相が体を張って立証してくれたわけですが。
そこできょうは、「ミスターL」「柳腰さん」と並んで、そのお姿を見るだけで畏敬の念に打たれ、そのお言葉を聴くたびに至福の境地に遊ぶ思いがする偉大なる「尊師ローチ」との対話をお届けします。泥臭く汗をかくローチ師は「民の竈」を何より第一に考えておられ、その財務官僚の言いなりには決してならない、慈愛にあふれた御心に触れると涙が止まりません。
私 民主党のマニフェストは総崩れで、特に予算の組み替えで何十兆も出てくると主張していた財源が見つからず、野田首相はいまや消費税増税一本槍です。でも、財源がそう湯水のようにわいて出るものでないのは、当初から指摘されていたことですよね。
ローチ師 我々に財源どうなってる(と聞くのは)、これはね、フェアじゃない。我々は財源はつくるんです。つくれなかったら、マニフェスト(を実行)できないんです。そしたら政権から引きずり降ろされるんです。だから、政治の覚悟でつくるんです。予算を組み替えるんです。これはもう覚悟決めてやりますんで、あなたたちに財源は言われたくない。(2009年7月26日、日曜討論)
私 失礼しました。それほど強い覚悟だったとは、おみそれしました。ただ、マニフェストを実行しようと思えば、今の状態なら消費税上げもやらざるを得ないという意見もあるようですが
ローチ師 12兆7000億円(が)、4700(の)、天下り法人に流れている。どれぐらいが無駄かはこれから精査しなければなりませんが、そういう宿題を具体的にやった後じゃないと、国民に負担をお願いをすることではないと思うんです。いまの財政の構造に白アリがいっぱいたかっているんです。その白アリ退治をわれわれにやらせてくれと、働きアリの政治をやらせてくれということです。(2008年9月10日、みのもんたの朝ズバッ!)
私 ということはやはり、財源確保策の一つとして、消費税上げを持ち出すなんてことは民主党は考えていないということですね
ローチ師 考えてないです。もちろん、それは足りないと、税金の無駄遣い(見直し)を徹底してやった後に足りない、ぞうきんを絞ってももう泥水も出ないというときには、これは頭を下げてお願いする話だと思っています。(同)
私 なるほど。天下りや渡りなど、国家公務員制度改革をはじめとする行革が先だということですね
ローチ師 まずこの12兆6000億円を削ってからではないと、消費税は言えないわけです。(「財界」2008 夏季第2特大号)
私 まさに正論で、感服しました。消費税上げを全否定はしないが、そこに至るまでにはやるべきことも、クリアすべき課題も多そうですね。
ローチ師 今のからくり(特別会計などの無駄遣い)が残ってしまったら、3年後に消費税を引き上げたとしても、砂漠に水を撒くのと同じです。だから、よく「財源を示せ」という指摘がありますが、消費税は何%が適切かといった議論は、日本の財政を完全情報公開したうえでの話だと思います。
消費税率アップを安易に認めてしまうと、そこで思考停止し、今のからくりの解明はストップしてしまうと思います。(2009年7月、著書「民主の敵」)
私 ところで、野田首相の党内融和最優先人事はことごとく失敗し、輿石東幹事長の抜擢も山岡賢治国家公安委員長も鉢呂吉雄経産相も一川保夫防衛相もみんな裏目に出て、いままた田中防衛相と前田国交相の去就が焦点となっています。失敗の原因は何だと思われますか
ローチ師 重要なポストについては自分の意思で、自分を本気で支える人たちを配して、その人たちの協力、戦闘体制を組んだ中で意思決定をしていくことが大事だと思います。バランス人事では結局、何も決まらない。党首のカラーがちゃんと出る政党にすべきです。(「Today」2002年10月号)
私 大阪市の橋下徹市長は、首相公選制導入を主張しています。この点についてはいかがでしょうか
ローチ師 私も基本的には「首相公選制」の立場です。今、最も必要な政治改革かもしれません。やはり有権者が一票を投じることで、国のトップが決まるということが民主主義を実現できる瞬間ではないかと思います。自分たちの手の届かないところで決められた首相に、国の命運を託すということはできないことです。(「経済界」2001年4月10日号)
私 憲法上の問題はどうクリアすればいいでしょうか。
ローチ師 現時点では、実現性に乏しいといわざるを得ないでしょう。ただし、私としては、現行の制度の中でも、与野党の申し合わせで、それに近いことが実現できると考えています。そしてそうすべきだとも。具体的には、与野党で次のような申し合わせをするべきだと考えています。
与党のトップ、要するに総理、総裁が交代する時には民意を問う、すなわち総選挙を行うという申し合わせです。これだけ時代の変化が激しいときに、民意の裏付けの無い政権が、国の舵取りをし続けるということでいいはずがありません。(著書「民主の敵」)
……いかがでしたでしょうか。ローチ尊師の愚直ともいえる真っ直ぐさ、飾らない率直な人柄がうかがえたことと思います。ローチ師は、現在のこの民主党政権のていたらくにきっと、歯がゆい、裏切られた思いを持っていることでしょうね。野田首相も、このローチ師の言葉をかみしめ、初心に帰った気持ちでやり直してほしいものです。というか、早く解散してほしいところです。
杜父魚文庫

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