9528 ロムニー夫人の意外な人気 古森義久

アメリカ大統領選挙では日本側では一般にオバマ優位が伝えられてきたようですが、つい昨日に公表された米側の複数の大手世論調査では、オバマ対ロムニーの支持率はともに46%と、まったく同等でした。
ラスムセン社の連日の全米調査では、4月13日から15日までがオバマ44%、ロムニー47%、11日から12日がオバマ43、ロムニー48と、ロムニー候補がリードしているのです。同じ調査では9日から11日までの期間、両氏はともに45%でした。この動きから科学的な証明こそありませんが、ロムニー氏夫人をめぐる騒ぎで同氏への支持率が高まったという推測をすることもできるわけです。
■【2012 米大統領選】ロムニー夫人に脚光 専業主婦批判反論で好感
【ワシントン=古森義久】米国大統領選挙で共和党の指名候補となることが確実となったミット・ロムニー氏のアン夫人に民主党の女性活動家から家庭の外で 働いたことがない経歴への激しい非難が浴びせられた。5人の息子を育ててきたアン夫人はすぐに反論し、オバマ大統領夫妻までがそれに同調したため、女性活動家は発言を取り消し、謝罪した。この結果、これまでロムニー陣営で前面に出ることが少なかったアン夫人に注目が集まってきた。
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民主党全国委員会の女性活動家ヒラリー・ローゼン氏は11日夜のテレビ番組で女性と経済について論じるうち、アン夫人に触れ「彼女は一生のうち一日も働いたことがないため女性への経済的圧力を語る資格はない」と語った。「家庭外で働いたことがない」という意図の発言だったが、女性が家庭で働くことをあまりに軽視したコメントとして全米的な論議を呼んだ。
アン夫人も翌日から「5人の息子を育てる母親の役は激しく働くことだ」などと反論した。ローゼン氏は当初、「アン夫人には子育てをしながら外で働く女性の苦労はわからない」などと説明していたが、オバマ大統領夫妻が個別に「母親以上に激しい労働はあまり多くはない」などと事実上、ローゼン発言を否定する言明をした結果、13日までには自身の発言を取り消し、アン夫人に謝罪した。
民主党側ではその後も年来の同党支持のトーク番組司会者ビル・メイヤー氏がアン夫人には社会経験が不足しているという趣旨の批判を述べたが、全体としては同夫人への攻撃をたしなめる基調が定着した。
こうした騒ぎを受け、ロムニー陣営ではこれまでスポットライトを浴びることの少なかったアン夫人の言動が前面に押し出されることとなった。63歳のアン夫人は19歳で2歳年上のロムニー氏と結婚し、子育てや家事に専念する専業主婦として夫を助けてきた。
多発性硬化症や乳がんにかかったが、いずれも克服した。個人的には明るく親しみやすいイメージで、しかも公的な場での発言で意外な雄弁さを発揮した。
その結果、共和党側ではアン夫人の存在はロムニー氏の堅苦しいイメージを和らげ、オバマ大統領が優位を保つ女性の支持の拡大にも寄与するという期待が語られるようになった。
杜父魚文庫

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