江沢民が北京のスタバに現れたのがなぜ世界の大ニュースなのか。胡錦涛だって06年訪米時はスタバにわざわざ立ち寄ったけど?
江沢民が北京のスターバックスに現れ、おりから訪中していたスタバ会長のハワード・シュルツと会談したことがわかった。会談は4月17日、このニュースが漏れたのは三日後、それも江沢民サイドからのリークという。
中国の共産党独裁下の報道環境にあって退役軍人高官ならびに引退した政治家は外国訪問が禁じられているばかりか、外国報道機関とのインタビューも禁じられている。
だから江沢民の動静は謎に包まれるが、ときに江沢民は重要な演出を行う。08年8月8日、北京五輪開幕式に、かれは何の肩書きのないのに貴賓席に陣取った。
09年軍事パレードでも、江沢民は、いかなる資格をもってしてか、軍事パレードを謁見する天安門の高楼にいた。
そして2010年二月に重病説が流れ、同年7月には死亡説。香港のメディアが報じて日本の新聞の一部は「号外」まで出した。
ガセだった。同年10月9日、辛亥革命百周年式典に江沢民はにやにやと作り笑いを浮かべて現れ、場内から「おぉー」とどよめきが起きた。
江沢民は「オレ様の院政は続いておるぞ」胡錦涛に気ままな決定はさせないからね」というメッセージの信号を、こうやって健康を誇示し、まだまだ政治的影響力は衰えておらず、つまり内外に対しての存在を見せつける演技は常套手段である。
スターバックスは、ところで、11年末現在、全中国に500店舗。筆者の北京の定宿は隣がスタバ、地方都市の目抜き通りには必ずスタバがある。
日米と同じく禁煙。珈琲代金は西側並みに高い。それなりの客はあるが、中国人でスタバにくる客は少ない。駐在外国人が圧倒的である。2015年を目指して、中国国内でスタバ1500店舗が目標だという。
江沢民は結局、このスタバの宣伝に手を貸したことにもなるが、薄煕来失脚以来のタイミングで、メディアへの露出の意図は、現下の政治危機、失脚が予測されている江沢民派の周永康を追い詰めさせないという政治目的も含まれているのではないのか。
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9556 中国・江沢民が健在を誇示! 宮崎正弘

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