米中関係の緊迫した一角はサイバーの世界です。アメリカ側にいわせると、中国のサイバー攻撃による米中戦争はもうすでに始まったのだそうです。
日本にとって、それはどんな意味があるのか。そのへんの現実をレポートしました。日本ビジネスプレスの私の連載コラム「国際激流と日本」からです。原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35064
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「サイバー攻撃に関する限り、米中戦争はすでに始まった」私がちょうど1年ほど前にワシントンの大手シンクタンク「ヘリテージ財団」の首席中国研究員ディーン・チェン氏から直接に聞いた言葉だ。チェン氏は中国の人民解放軍のサイバー攻撃や宇宙兵器など高度技術がからむ領域を長年研究してきた専門家である。
それから1年が過ぎた今、改めてこの言葉の現実性を痛感させられた。米国議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」が、この中国のサイバー攻撃を大きく取り上げ、米国の対応に警鐘を鳴らしているからだ。
この調査委員会は、「米中経済関係が米国の国家安全保障にどう影響するか」を調査し、議会や政府に政策を勧告する組織である。
共和、民主両党の有力議員がそれぞれ推薦した合計12人の委員で構成され、毎月2回平均の頻度で、公聴会を開いている。公聴会は米中関係での米国 の安全保障に関わる時の課題をテーマとし、その分野の専門家たちを招いて証言を聞く。同時に特定のテーマについて同委員会独自の調査報告を作成し、公表する。
米中経済安保調査委員会は、中国のサイバー攻撃をすでにいくつかの角度から取り上げてきたが、この3月にも新しい報告書と公聴会の両方でその恐るべき実態を改めて明らかにしたのだった。
米国へのサイバー攻撃、犯人は中国人民解放軍
同委員会は、3月上旬、「中国のコンピューターネットワーク作戦とサイバースパイ活動」と題する報告書を公表した。
この報告書は、中国人民解放軍がサイバー攻撃を対米軍事戦略の中枢に位置づけ、実際にその攻撃能力を画期的に増強している、という骨子だった。また同報告書は、中国軍が米国のコンピューターネットワークへの攻撃を実際の戦争の不可欠な一環としているのに対し、米側はまだその対応が十分ではないと警告していた。(つづく)
■ヘリテージ財団 (Heritage Foundation) =1973年に設立されたアメリカ合衆国ワシントンD.C.に本部を置く保守系シンクタンク。米国で最も影響力のあるシンクタンクのひとつと考えられている。訪米した石原東京都知事が尖閣諸島の購入を表明したのは同財団の講演。
企業の自由、小さな政府、個人の自由、伝統的な米国の価値観、国防の強化などを掲げ、米国政府の政策決定に大きな影響力を持つ。ヘリテージ財団の活動はこれまでのシンクタンクの概念を変化させた。
ヘリテージ財団は1973年スケイフ財団とクアーズ経営者のジョゼフ・クアーズの出資により設立され、保守活動家のポール・ウェイリッチが初代代表となった。1974年以降は共和党の政策委員会顧問やフィリップ・クレーン下院議員のスタッフ経験もあるエドウィン・フュルナーが総裁を務めている。
2001年までヘリテージ財団は公共政策に関する保守系月刊誌『ポリシー・レビュー』(en)を発行していた。2001年以降、同誌の発行はフーバー研究所に引継がれた。(ウイキペデイア)
杜父魚文庫
9570 中国軍がアメリカに向けサイバー突撃 古森義久

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