9587 民主党内の「反増税」の動きに弾み  古沢襄

衆院は26日の本会議で、消費増税法案など税と社会保障の一体改革関連法案を審議する特別委員会の設置を民主、自民、公明党などの賛成多数で議決した。法案の実質審議入りは5月の大型連休明けにずれ込むから、6月21日の通常国会会期末までの成立は難しい。会期延長が課題となるが、勢いづいた小沢グループは反転攻勢の構えを示しているので、法案成立の見通しは一層不透明となった。
さらに小沢グループでは”党内冤罪”を主導したとして、”小沢切り”の菅前首相、小沢氏の党員資格停止処分を決めた岡田前幹事長に対する批判が高まっている。このままでは小沢グループと反小沢派の深刻な党内対立が激しくなる雲行きだ。
無罪判決が下された民主党の小沢一郎元代表の判決公判は、ネット上でも話題になった。ポータルサイトで行われたアンケートでは、メディアや検察側を批判しながら、無罪判決は妥当だとする声が相次いだ。
輿石幹事長の立ち位置は無罪判決で小沢氏寄りに動いた。「罪のない人を処分した。『申し訳ない』で済むか」と述べ、解除は揺るがないと強調する声もある。
野田首相が消費増税法案を成立させようとすれば、自民党の谷垣禎一総裁と話し合い、「話し合い解散」で合意した上で成立させる選択肢をとらざる得ないと、早期解散を予測する向きがでてきた。
<小沢一郎民主党元代表の資金管理団体の政治資金規正法違反事件で、東京地裁が小沢氏に無罪判決を下したことを受け、同党執行部は26日、小沢氏の党員資格停止処分を解除する方針を固めた。早ければ5月8日の常任幹事会で決定する。消費増税関連法案に反対し、倒閣の構えも示す小沢氏が復権することになり、野田佳彦首相の政権運営への圧力が強まるのは必至。次期代表選の行方や衆院解散時期にも影響しそうだ。
輿石東幹事長は26日、連休明けに小沢氏の処分解除手続きに入る方針を表明。首相は同日、「常任幹事会で議論することだ」と記者団に語り、執行部に対応を委ねる考えを示した。
昨年2月に当時の岡田克也幹事長が処分を決めた際は、資格停止の期限を「判決確定まで」としており、一審段階での解除には慎重論もある。しかし、党幹部は「罪のない人を処分した。『申し訳ない』で済むか」と述べ、解除は揺るがないと強調した。
無罪判決を受け、小沢グループからは「首相は小沢氏の経験を活用してほしい」(若手)と、選挙対策などを担当する要職への起用を求める意見が浮上。副総理として入閣している岡田氏の責任を問う声も強い。参院で問責決議を受けた前田武志国土交通相と田中直紀防衛相の進退と絡め、連休明け以降、内閣改造・党役員人事を求める圧力が増す可能性もある。 
消費増税法案で首相は、2月に自民党の谷垣禎一総裁と極秘会談するなど、同党の協力を得て今国会中に成立させる方策を模索してきた。成立阻止を公言する小沢氏の復権により、民主党内の「反増税」の動きに弾みがつくのは確実。このため首相が今後、自民党と「話し合い解散」で合意した上で成立させる選択肢を考慮することも予想される。
ただ、法案の衆院採決に突き進んだ場合、小沢グループを中心に大量の造反者が出て、民主党は分裂となりかねない。逆に党内融和を重視する輿石氏が採決を先送りすれば、消費増税に「政治生命を懸ける」とした首相の政治責任が問われることになる。9月の代表選での再選を目指す首相は厳しい判断を迫られる。(時事)
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