9592 小沢一郎に取りつかれた日本  古沢襄

日本の新聞やテレビは小沢一郎氏の無罪判決で号外を出したり、特別番組を組んだりしたが、海外メデイアは冷めた眼で日本の騒ぎを報じた。米ウォール・ストリート・ジャーナルは「小沢一郎に取りつかれた日本」という解説記事を書いた。
「小沢一郎という政治家。好き嫌いはともかく、日本でこれほど注目される政治家はほかにいない」と前置きしながら、「判決によって、政界の基本的な力学が変化することはなく、小沢氏が目指す首相就任も望みのないことに変わりがない」「判決の影響といえば、日本のマスコミにとって記事のネタが増えたことくらいだ」とジェラルド・カーチス米コロンビア大教授の論評で結んでいる。
<小沢一郎という政治家。好き嫌いはともかく、日本でこれほど注目される政治家はほかにいない。
無罪判決を喜ぶ小沢支持者政界に大きな影響力を持つ小沢氏に対する26日の無罪判決をめぐる騒ぎは、国民全体の意識の中の同氏の存在感が大きいことをあらためて示した。
判決当日の朝、あいにくの雨模様にもかかわらず、東京地裁周辺は公判傍聴券を求める人々の長蛇の列ができた。地裁によると、一般傍聴席46席に対して1843人が傍聴券の抽選のために列に並んだという。
地裁の外では、「無罪」と書かれたプラカードを掲げた小沢氏の支持者も多数姿を見せた。ある男性は拡声器を使って日本の司法制度の不公正さを非難していた。さらに、地裁の建物周辺には日本や外国のメディアのカメラが設置され、判決の様子を見守る。
主要テレビ局が全て10時からの判決公判を生中継。法廷のドアが閉められてからわずか1分後、傍聴していた記者の第1陣が地裁建物から飛び出して「無罪」と叫んだ。
それに続いて、小沢氏無罪を報ずる一般紙や大衆紙の号外が配布された。
中野晃一上智大学教授は公判後に日本外国特派員協会で講演し、小沢氏の政治的存在感に衰えが見られないことについて、首相になることなく、日本政界の表舞台に過去20年君臨してきたことは注目に値すると説明。さらに、このような政治生命の長さの理由として、適切な言い方ではないかもしれないと断った上で小沢氏のカリスマ性を挙げるとともに、政治家としての素質も指摘した。
小沢氏は政治家としての波乱万丈なキャリアを通して、常に世の注目を浴びてきた。新党の結成と解党を繰り返してきたことから「壊し屋」という異名を持つ一方、自ら首相の座に就いたことがないながら、自身が選び出した首相への大きな影響力を舞台裏で行使するため、「闇将軍」と呼ばれることもある。
日本政治の専門家で小沢氏に批判的なジェラルド・カーチス米コロンビア大教授は今回の判決を、政治的に重要視していない。中野氏とともに日本外国特派員協会で講演した同教授は「判決によって、政界の基本的な力学が変化することはなく、小沢氏が目指す首相就任も望みのないことに変わりがない」と語った。
そして、「判決の影響といえば、日本のマスコミにとって記事のネタが増えたことくらいだ」と冷めた見方を示した。(ウォール・ストリート・ジャーナル)
杜父魚文庫

コメント

  1. 貧乏人 より:

    「小沢一郎無罪」という報道に接していて、故佐藤栄作総理の田中角栄に対する言葉「この男を総理にしてはならない」を思い出した。田中角栄以降の日本政治の惨憺たる有様は佐藤総理の危惧したようになった。田中政治の 力=数=金 という公式がこの国の政治風土のみならず、国民性をも卑しきものにしたのである。
    小沢氏は田中角栄、金丸信の政治手法の正嫡である。
    この二人の師匠も皮肉なことに最も得意とした「集金技能」に溺れ、歴史に汚名を残して惨めに消えていった。
    今TV映像では小沢チルドレンや塀の中からの帰還者及びその予備軍が熱い涙を流し小沢氏の「無罪」に歓喜しているが、彼等は小沢氏の二人の師匠の結末を知っているのであろうか。
    落ち着いて考えて欲しい。
    小沢氏の無罪は政治資金収支報告書作成に係る不正に関してである。それよりも世の人は(民主党に一票を投じた暗愚の大衆といえども)、氏の自宅金庫の四億円の出所が気になるのである。
    いくら民主党と小沢一郎氏が政治的手練手管を弄しても、このわけの解らない無能政党と政局政治家は近いうちに歴史のゴミタメに姿を消して行くのであろう。

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