9617 「男らしい男」が国をつくる 加瀬英明

大学生の傾向
私はいくつかの大学で、教鞭をとった。 授業のあとで、学生たちを喫茶店に誘った。20年以上前は、女子学生にどのような男性を好むのかと質問すると、きまったように「男らしい人」という返事が戻ってきた。
 
ところが、このところ女子学生の全員が「優しい人」と答える。20数年前は「優しい男」といえば、「優男」(やさおとこ)といって、軽蔑されたものだった。頼りがいない、柔弱な男をいった。女の機嫌をとる男は、「女誑」(おんなたらし)が多かった。
 
薬局を覗くと、男性用の化粧品が並んでいる。このごろの男性は着せ替え人形のように、べべ(幼児語で着る物)を買い求める。
男が魅力を失なった。日本から男がいなくなった。これでは、少子化が進むのは当り前のことだ。女は機嫌をとるものではなく、男についてくるものだ。
昨年なかばに、私立大学の経営者の協会に招かれて、講演をした。何でも日本には、7百以上の私立大学があるということだった。
少子化が急速に進んでいるために、日本が力を失うようになっているが、もう1つの大きな要因が、この40年あまり似非(えせ)教育を、働くことの上に置いてきたためだ。猫も杓子(しゃくし)も、大学にゆく。杓子は今では差別語になるが、下層の飯盛り女をいった。
大学を卒業しないと、肩身が狭い。それよりも働くことの尊さを、中心に据えた社会をつくるべきだ。中学、高校を出たら、すぐに働く若者をこぞって称えよう。
青年が額に汗して一所懸命に働く姿は、美しい。乙女たちはその崇高な姿に胸をときめかせて、憧れるようになろう。
日本の母が育てた男子
この国をつくってきたのは、男らしい男と、働くことに生き甲斐を求める男だちだ。女も、中卒でよい。福沢諭吉、大隈重信、東郷平八郎、小村寿太郎、後藤新平と、明治の日本を築いてくれた偉材を、生年順に思いつくままにあげても、傑出した日本人をつくったのは、日本の母たちによる躾だった。
人類史に光を放った日本を産んだ、これらの母たちは誰1人として、中学校にも行かなかった。世界一の母がその母たちの訓育によって、育てられた。躾を重んじることによってのみ、祖国日本が再生しよう。
杜父魚文庫

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