9621 話し合い解散、公明に容認論=「民自接近」にらみ  古沢襄

いずれどこかの新聞が書くと思うが、野田首相は消費増税関連法案の成立に向けて、自民党工作を一歩進めている。十日に指定弁護士が控訴するか、しないかは関係ない。
自民党に対するアプローチは岡田副総理と藤井裕久氏。料亭やホテルは使わずに電話による情報交換が激しくなった。もっともこの二人は谷垣総裁と直接、話をするわけでない。自民党の大島副総裁など実力者とツナギをつけている。
野田首相が谷垣氏と直接、話をするわけだが、そのために谷垣氏にもっとも影響力がある人物にまずツナギをつけている。その人物のところに、野田首相の秘書が「これから伺います」と連絡してきた。
その人物はピンと来たという。野田本人か代理人がくるのではないかと・・・。秘書を連れて現れたのは何と野田首相夫人だった。「主人がいつもお世話になっています」と言ったか、どうかは知らないが、僅か数分で辞去していったそうだ。「谷垣に会わねばなたないな」とその人物は私に言った。
阿吽の呼吸というか、かなりスマートなやり方である。
小沢グループの蠢動は気にしていないという。放っておけば自壊するという”読み”をしている。どうもこの勝負は野田首相に分がありそうだ。その裏話を聞いたうえで、次の時事通信の記事を読むと面白い。
<消費増税関連法案成立後の衆院解散を条件に、野党が成立に協力する「話し合い解散」について、公明党内で容認論が浮上してきた。小沢一郎民主党元代表の無罪判決を受け、野田佳彦首相が法案成立へ自民党との距離を縮めるとの見方が広がり、自民党も話し合い解散を視野に法案賛成への環境整備を進めているためだ。「民自接近」をにらみ、公明党の解散戦略は見直しを迫られつつある。
公明党は、今国会で消費増税法案を否決して解散に追い込むことを基本戦略とし、話し合い解散には「みんなの党などから『増税談合』と批判される」として反対の立場を取ってきた。支持母体の創価学会は「6月解散」を念頭に、3月12日から全国で選挙準備を本格化させている。
しかし、公明党を取り巻く情勢は、当初の想定から変化している。 
首相は米国訪問中の先月30日(現地時間)、小沢氏が消費増税法案に反対していることについて「何びとも党員なら(民主党の)方針に従ってほしい。(賛成が)当然のことだ」とけん制した。だが、小沢氏が賛成に転じる気配はなく、「成立が見通せない首相は自民党に妥協してでも協力を求める」との見方が強まっている。
その自民党は、法案を審議する衆院特別委員会の筆頭理事に伊吹文明元財務相、委員に野田毅党税制調査会長ら、消費税に詳しい実力者を起用した。社会保障政策の対案を提出し、政府案の大幅修正を求めていく方針で、野田政権が対案を「丸のみ」すれば賛成する構えだ。
こうした状況に、公明党幹部は「自民党は話し合い解散を見据えている。足並みをそろえないといけない。うかうかしていると置き去りにされる」と危機感を表明。中堅の一人も「これからは柔軟な対応が必要になる」と指摘する。
もっとも、公明党が直ちに方針転換するには、難しい事情もある。法案賛成の条件として、(1)社会保障政策の全体像の明示(2)景気回復・デフレ脱却(3)行政改革の徹底-など五つも掲げてしまっているためだ。ハードルを下げるには、支持者が納得できる理屈付けが必要となりそうだ。(時事)>
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