9622 前原氏 極東でガスパイプライン検討   古沢襄

<【モスクワ時事】民主党の前原誠司政調会長は3日、モスクワでロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムのメドベージェフ副社長と会談した。東京電力福島第1原発事故後、日本国内で電力需給への懸念が強まっていることを踏まえ、双方は、宗谷海峡を結ぶ日ロ間のガスパイプライン敷設の可能性を検討していくことで一致した。(時事)>
<民主党の前原政策調査会長は、滞在先のモスクワでロシア最大の政府系ガス会社の幹部と会談し、政府・与党として、ロシア極東の天然ガスを日本に送るパイプラインの設置を検討したいという考えを示しました。
前原政策調査会長は、原子力の代替エネルギーとして天然ガスの活用が期待されるなか、ロシアの政府系ガス会社「ガスプロム」のメドベージェフ副社長と会談しました。
この中で、前原政策調査会長は「ウラジオストク近郊で建設が進められているLNG=液化天然ガスの輸出施設に日本として協力していくなかで、日ロ両国で、さらに天然ガスの面でも協力関係を結んでいくことを期待している」と述べました。
そのうえで、前原氏は「政府・与党として、天然ガスのパイプラインの敷設を検討する用意がある。具体的なルートなどは定まっていないが、例えば、サハリンの南から稚内までの宗谷海峡なら40キロでつなげることができる」と述べました。
これに対し、メドベージェフ副社長は「日本とロシアの間では、経済的な協力を第一の優先事項として掲げていくことが、われわれの基本方針だ」と述べました。(NHK)>
目新しい構想ではないのだが、サハリンの南から稚内までの宗谷海峡40キロのパイプライン設置は、採算性など課題が多いとされている。現状では液化天然ガス(LNG)の輸入の方が安くつく。またパイプラインの爆発事故もあるので、安全性の確保が必要になる。
しかし日本側でも稚内に上陸して苫小牧東部地域(苫東)まで幹線パイプラインを整備し、苫東にLNG液化基地を設置する民間ベースでの計画・構想が進められている。それが政府与党の中で東日本大震災復興事業の一環として実施する計画見直し案も検討されている。
ロシアのガス輸出権は法令によってガスプロムが独占的に保有しているが、ガス田そのものはロシア連邦政府が保有しているので、日ロ政府間協議・交渉を続けてきた。
「サハリン3」を中心に複数のガス田から導入することが可能となったので、パイプラインによる天然ガスを苫東LNG液化基地に集め、導管ネットワークを構築して北海道内各地域にクリーンで低コストのエネルギーを産業用、業務用、民生用として供給する構想があるが、東日本へ延伸された場合の全体的実施内容は、これからの課題だ。
東日本へ延伸する場合は、基本的には被災地を経由して整備することになる。前原氏が3日の記者会見で、液化天然ガス(LNG)と比べたガス価格や投資額などを検討する必要があると述べたのは、この見直し案を念頭に置いた発言といえる。かなり規模が大きい計画に化ける可能性が出てきた。
これらの課題があるので、当面は極東ウラジオストクでの液化天然ガスLNG輸出基地の建設計画が優先するとの見方を示している。
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