9624 前原政調会長の構想を伝えた「ロシアの声」  古沢襄

「The Voice of Russia(ロシアの声)」という国営ラジオ局がある。サハリン南端から海底を通過して日本へつなぐガスパイプラインの敷設を流していた。日本の積極的な投資を期待したものであろう。
<日本は、ロシアからガスパイプラインを敷設する可能性について検討している。日本の前原誠司・民主党政調会長が3日、訪問先のモスクワで開かれた記者会見で伝えた。
前原氏は、ガスパイプラインの長さは40キロで、サハリン南端から海底を通過して日本へつなげられる可能性があると指摘した。
前原氏によると同プロジェクトの展望は、多くの点で日本の今後の原子力エネルギーに左右される。
また、日本の野田佳彦首相とロシア大統領選挙で当選を決めたウラジーミル・プーチン氏の会談の結果もプロジェクトの実現に影響する可能性がある。前原氏によると、両国の首脳会談は米国のキャンプ・デービッドで5月に開催される「G8」サミットの枠内で予定されている。(ロシアの声)>
「多くの点で日本の今後の原子力エネルギーに左右される」というのは、日本がドイツのように本格的な”脱原発”に踏み切るかをみている。原発再稼働の行方を見定めているともいえる。
「ロシアの声」は昨年、東シベリアー太平洋石油パイプラインについても報じていた。プーチン首相の経済戦略はシベリアやサハリンの石油、ガス開発とその輸出を国家の重要な戦略と位置付けている。
シベリアの石油に関しては、アンガルスクから中国の大慶へのパイプライン建設(大慶ルート、長さ2260km、経費25億ドル)は既に、1998年にロシアの石油大手ユコス社と中国石油天然ガス集団公司の間で構想が具体化した。
一方、2003年1月に小泉首相が訪ロした際、アンガルスクからナホトカ方面へのパイプライン建設(ナホトカ<太平洋>ルート、長さ4000km、経費52億ドル)の話が出て、一時ナホトカルートが有力になった。ただ、この計画には東シベリアの新たな油田開発が前提となっていた。
その後中ロの接近により、中国へのパイプラインを先に敷設することが決まった。中国側もロシアの投資計画に協力している。
日中両国への供給を両立させて採算を取れるだけのシベリア埋蔵量は、確認されていないという説がある。代わって出てきたのが、サハリンの天然ガス開発だったのではないか。
<東シベリアー太平洋石油パイプラインに、イルクーツク州北部ドゥリシミンスコエ産地から石油の供給が始まった。イルクーツク石油会社が28日、伝えた。
ドゥリシミンスコエ産地は、イルクーツク州にある東シベリアー太平洋石油パイプラインの3番目の資源基盤。1つ目と2つ目の産地は、09年と10年にパイプラインに接続された。
東シベリアー太平洋石油パイプラインは、西シベリアと東シベリアの石油産地と沿海地方の石油積み出し港「コズミノ」を結ぶパイプラインで、ロシア産の石油を、米国、太平洋アジア太平洋諸国の市場へ出荷する。(ロシアの声)>
杜父魚ブログの全記事・索引リスト

コメント

タイトルとURLをコピーしました