9629 オバマ政権は人権に鈍感 古森義久

中国の盲目の人権活動家、陳光誠氏をめぐる動きです。私も下記の公聴会を傍聴していて、論議の真っ最中に北京の陳氏から突然、証人の1人に電話がかかってきたというので、びっくりでした。
〔ワシントン=古森義久〕米中関係に波紋を広げている中国の盲目の人権活動家、陳光誠氏が3日、米国議会の公聴会に北京から直接、電話をかけ、米国への亡命と北京滞在中のクリントン国務長官への面会を強く希望していると言明した。陳氏の言明はオバマ政権のこれまでの説明と異なるため同公聴会では同政権への強い非難が表明された。
米国議会の「中国に関する議会・政府委員会」は3日、陳光誠氏への迫害についての公聴会を開いたが、その開催中に証人の一人で中国当局の宗教弾圧に抗議する活動を米国で続けている中国出身のボブ・フー(傳希秋)牧師あてに陳氏からの電話がかかった。
フー氏は陳氏との会話を拡声器で公聴会全体に流し、同委員会のクリス・スミス委員長らも陳氏とフー氏の通訳で話しあった。
陳氏はこの電話で「私は米国への亡命を強く希望している。その最大の理由は静養を必要とすることだ」と述べるとともに米側の支援に感謝しながらも「私は(いま北京訪問中の)ヒラリー・クリントン国務長官に面会したい。支援に感謝すると同時に、自分をめぐる状況をもっと詳しく説明したい」と述べた。
陳氏の意向については中国当局は「中国滞在を希望している」と発表し、米側もそれを認めた形となっていた。またクリントン国務長官は陳氏との面会を避けたという。しかし陳氏本人が直接、米国議会に米国亡命の意向を表明し、同国務長官との面会を求めたことはオバマ政権のこれまでの対応との食い違いを示し、同政権を苦境に追い込む見通しをも生んだといえる。
同公聴会では米国在住の中国女流作家、ヤンスエ・カオ(曹雅雪)氏も証人として「私が現地にいる陳光誠氏のオイと電話で話したところ、陳氏が米国大使館を出たのは、そのままだと夫人に危害が及ぶという脅しのためだと告げた」と発言し、米中両政府の陳氏が自発的に米大使館を離れたという説明は事実ではないと指摘した。
カオ氏は「私はもう米国籍となったが、米国人として自国の政府がこれほどの人権弾圧を座視することは恥ずかしい」とも強調した。
同委員会側でも共和党側の有力メンバーのフランク・ウルフ下院議員が「オバマ大統領が最近の記者会見で陳光誠氏への弾圧について質問され、ノーコメントと答えたことは米国の拠って立つ価値観に反する」と非難し、国務省やロック中国駐在米国大使のこの案件への対応を糾弾すると言明した。
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