さて、憲法記念日の3日は各地で、憲法を考える集会などが開かれました。その中で、社民党の福島瑞穂党首が行ったJR上野駅前での街頭演説内容が目につきました。福島氏は、改憲への動きが本格化することを強く危惧し、次のように訴えています。
《今どうでしょうか。国会の中で、政治の場面で色んな所で、憲法改正の声が高くなっています。国会の中で、憲法審査会が衆院と参院の両方で設置になり、今国会では、すでに衆参で4回審議をおこないました。これは憲法改正のための国民投票法、安倍内閣の時に強行採決をしたこの法案に基づいて国会に設置をされたのが、この憲法審査会です。私は、参院の憲法審査会のメンバー。今緊急事態宣言と基本的人権というテーマで議論をしています。今、緊急事態の規定を入れなくてはいけないから憲法改正、そんな声もでてきました。
しかし、今度の震災で、緊急事態宣言がなかったから困ったことなどあったでしょうか。むしろ、国民の知る権利の保障や的確な機敏な判断を政府がしなかったことにこそにあると思っています。国会の中で、今憲法をかえるには3分の2衆院と参院で発議が必要です。それを過半数にしようというそんな動きもとても強いんですね。みなさん最高法規の憲法を、法律と同じ過半数であっという間に憲法をかえてしまう。そのことは本当に不安定になり、基本的人権の侵害につながると本当に危惧を感じています。
憲法9条。戦争をしないと決めた9条が改憲をしたい人達のターゲットです。今は、憲法改正規定要件を緩和しよう。緊急事態宣言必要だよね。何かあったときに、という周辺から憲法を死滅させよう。そんな動きも活発になっています。私は、日本国憲法が大好きです。憲法は女性も男性もみんな元気でいいんだ。障害のある方もいろんな人達も元気でいいんだと励ましてきました。生存権、幸福追求権。憲法9条の効用がある。
日本は多くの亡くなった方達の犠牲の上に日本国憲法を手にしました。戦争をしないと決めた憲法9条を手にした。憲法9条があるので、日本の若者は日本の人達は、海外で戦争をすることができないのです。(中略)憲法9条があるから、戦後の65年間私達は海外で人々を殺さなくてすんだわけです。もし憲法9条がなかったらどうでしょうか。米兵といっしょに村民を殺していた。そんなことだって起きたと思っている。
私はこの日本が大好きです。日本の戦後の多くの財産を感じています。非核3原則、武器輸出等3原則など、日本が海外に武器を売らない。そんな戦後をつくりました。日本製の武器が、クラスター爆弾が世界の子供たちを殺していく、そんなことがおこることを、日本の憲法9条がとめてくれたんです。
空気みたいな日本国憲法が、空気みたいな憲法9条が私達が戦争にいく、戦争に加担する、世界の人達を殺す、武器を輸出する、核武装をする、核を使う、さまざまなことから私達を守ってくれた。政治がめちゃくちゃやらないように憲法が私達を生してくれている。そう思っています。日本国憲法の前文は政府が再び、戦争を起こさないように、国民が主権を存する国民が憲法をいかしていくことが書かれています。だからこそ65回目の憲法、憲法の価値をまさに実現していくこと社民党が先頭となってみなさんたちと一緒にやっていきたいと思っています。
先日、自民党が改正案を発表した。これって憲法なのか。そう思います。憲法は、マグナカルタ、イギリスのジョン王に対して、貴族たちが勝手に課税するな、1215年に出したマグナカルタが憲法の発祥と言われています。憲法って政府が、政治が、国家権力がひどいことをしないように国民の権利を守るためにつくられたものです。
でも、先日発表された自民党の憲法改正案は、逆です。国民のみなさんの基本的人権をどのように、どのようにも剥奪できる中身になっています。国民は公益、公共の福祉に常にしたがわなければならない。そうなっています。公益と公の秩序の判断を一体誰がするんでしょうか。国にとって、政府にとって都合が悪い人たち、都合が悪い団体。表現の自由や秘密保全法をばんばんつくり、情報を出さない、国民の基本的人権をいかようにデモ剥奪できる、それが自民党の新憲法案です。
また、憲法9条の2項を改正し、9条の2とし、国防軍をつくる。その中身になっています。いつだって国防軍が海外でアメリカとともにアメリカの世界戦略で戦争ができる。そんなことができる憲法の中身です。また、日の丸君が代、国旗国歌が憲法に規定される。それが中身です。(中略)
個人の内心に国家が介入し、基本的人権を制限することと戦争のできる国はコインの表と裏です。今この2012年にそんな自民党の憲法改正案がでてきていて、国会で憲法審査会が議論をされていることに大きな危機感を感じています。みんなの党も国旗国歌を憲法に規定するそのことを言っています。大阪維新の会が一定の勢力を国会で占め、自民党と組めば、いつだって憲法改正できる、そんなことが起きるのではないかと本当に思っています。
みなさん私達は空気みたいに憲法のもとに暮らし、表現の自由、幸福追求権、生存権が保障され、そして自衛隊は海外にまではいかない。海外にまでいって戦争をしたりしない。そんな憲法のもとで、平和で民主主義でということを不十分ですが享受をしてきました。私は何よりもこのことを子供立ちの世代に未来にプレゼントしたいと思っています。》
…世の中のことはだいたい、社民党の逆を行けば正解に到達しますから、福島氏の危機感は非常に好ましいものだと心強く感じました。私も今、かつてないほど憲法改正への道が開かれつつあると感じています(なぜか字体がここで変わってしまい元に戻せません)。
1日の紙面に掲載された産経新聞とFNNの世論調査では、憲法改正は「必要」との回答が57.6%に達し、また、「自衛隊の位置づけを明文化すべきだ」が71.7%、「集団的自衛権を認め、明文化すべきだ」が62.1%と、非常に心強い結果が出ました。集団的自衛権の行使を認めることは、これからの厳しい国際環境の中で日本が生存していくために、米国との関係をより対等にして発言権を増すために不可欠だと考えますが、そうした必要性も少しずつ浸透してきたということでしょうか。
福島氏の危機感も、こうした潮流の変化を触覚で感じてのことかもしれませんが、繰り返しますが社民党が困っているということは、多くの国民にとっては好ましい時代が訪れつつあることだと確信しています(あれ、字体が突然もとに戻りました)。
私はこれまでさんざん、民主党政権やそのプレーヤーたちの問題点を指摘してしましたが、一つだけその意義を認めるとしたら、怒濤のごとく積み重ねたその失政によって、「日本はこのままではダメになる」という深い印象と実感を国民に与えたことではないかと考えます。
民主党政権による多くの国益の損失と、領土問題をはじめとする諸外国に対する外交敗北の連鎖と停滞感により、「日本ももっとシステムを整えてやり直さないと、冗談ではなく地盤低下してしまう」と、みんながそう思うようになってきた部分があり、それが改憲への肯定的意見の高まりにつながっている気がするのです。
まあ、先のことは分かりませんが、少なくとも、未来に一筋の希望が指してきた感はあります。子供たちの世代に、まともな国、真っ当な国をバトンタッチするために、今が正念場なのかもしれませんね。
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9630 社民党・福島瑞穂党首の強い危機感と民主党政権の意義 阿比留瑠比

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