9675 原発再稼働、主導も決断も出来ぬ民主党政権  古沢襄

”国民の生活が第一”の民主党政権だった筈だが、国内すべての原子力発電所が運転を停止し、節電の夏が再び到来するというのに、打開策がみつからない。
将来の”脱原発”はよいとしても、それまでの道筋は最低限の原発再稼働によって、徐々に原発依存から脱却するのが、現実の政策な筈だが、地域住民を説得することを早々と諦めて政府の無策ぶりを露呈している。
原発に代わるエネルギー政策もみえてこない。 太陽光発電とか地熱発電、風力発電、バイオマス発電、石炭・石油・天然ガスを燃やす火力発電とアデイアだけは花盛りだが、具体策はなにもない。結局は消費増税と同じく国民に負担と我慢を強いるのが”国民の生活が第一”の本音とみえる。
産経新聞論説委員の井伊重之氏は怒りをこめて電力不況を招く政府の無策を批判している。
<国内すべての原子力発電所が運転を停止し、節電の夏が再び到来する。電力不足でも原発の再稼働に踏み切れない野田佳彦政権は、昨年に続いて家庭や企業の電力使用を制限することで夏を乗り切る構えだ。東日本大震災や福島第1原発事故に見舞われた後の昨夏は緊急避難として強制的に電力使用を制限したが、今夏は電力不足が確実視されていた中での制限だけに、政府の無策ぶりは明らかだ。現実味を帯びる「電力不況」の責任は、原発再稼働を主導できない政府にある。(フジサンケイビジネスアイ)
政府の電力需給検証委員会では、原発を持たない沖縄電力を除く全国9電力がまとめた今夏の電力需給見通しを調査してきた。その結果、定期検査を終えた原発が再稼働せずに一昨年のような猛暑を迎えた場合でも、全国平均で0.1%の供給余力が生じるという。
当初は0.4%の不足だったが、他社からの融通や一般企業からの電力購入、それに節電によって一応は「余剰」に転じた格好だ。ただ、これは安定供給の目安とされる8%どころか、計画停電の対象になり得る最低限の3%にも達しない。「何とかしのげる」などという水準では決してない。
電力会社ごとの需給をみると、北海道と関西、九州電力が供給不足に陥り、とくに原発依存度が高かった関電は供給が需要を15%程度下回るという。東京電力は昨夏に10%程度の電力不足を見込んで使用制限に踏み切ったが、今夏の関電はこの水準にも届かない計算だ。これでは強制的な使用制限は避けられない。地元に再稼働を要請している大飯原発3、4号機が順調に運転を再開すれば使用制限は回避できそうだが、それでも節電要請は必要だ。
他の電力会社は四国を除き3%以上の余力を確保する見通しだ。だが、これも昨年並みの厳しい節電効果を見込んだものだ。昨夏は大震災の影響で産業界では東北地域のサプライチェーン(部品供給網)が寸断されるなど減産を強いられた。復興需要が本格化してきた今夏に再び厳しい節電を強いられたのでは、景気への影響は必至だ。供給が足りないから需要を減らすという発想ではデフレも加速させかねない。まさに電力不況が目前に迫っている。
それなのに政府は、世論の反発を恐れて原発再稼働を主導できていない。地元の理解を得るのは当然だが、政府が原発に責任を持つという「政治決断」を示さない限り、地元が納得するとは思えない。政府が逃げているばかりでは、再稼働はおぼつかない。
何より深刻なのは再稼働に移行できる原発は大飯と伊方3号機しか当面は見込めないことにある。これは、夏の電力不足が恒例行事として毎年繰り返されることを意味する。そして工場の海外移転など産業空洞化が進み、雇用の場も失われる。決断できない政府では、家庭と企業に災厄をもたらすだけだ。(産経新聞論説委員 井伊重之)>
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