亀井静香氏が抜けた国民新党は迫力がない。亀井氏に代わって代表となった自見庄三郎金融担当相と野田首相が12日、公邸で会談している。藤村官房長官、国民新党の下地幹事長が同席した。
会談は国民新党側が求めたことになっている。だから13日の各紙朝刊の扱いも小さいだろう。
だが別の角度からみると、この会談は何やら意味ありげにみえる。自見代表が参院で問責決議を受けた田中直紀防衛相と前田武志国土交通相の交代を要求したからである。
問責2閣僚の交代については民主党の輿石東幹事長が強く反対している。輿石氏とは違う力学が、首相にあからさまに2閣僚の交代を働きかけたことになる。首相は問責2閣僚の交代要求には明確に返答しなかった。
国民新党のスタンドプレーとみれば、このニュースは小さい。だが、民主党内の反小沢・輿石グループの動きと連動しているとみれば、決して小さいニュースとは言えない。2閣僚の交代要求は小幅の内閣改造人事を求めたことになるから、2閣僚を続投させる意向を表明している首相は言質を与えるわけにはいかなかった。
しかし会談に同席した藤村官房長官は、来年夏の衆参ダブル選挙に言及した輿石幹事長には警戒感を募らせている。一波が万波を呼ぶきっかけの両党首の会談という見立てをしておく必要がありそうだ。
<野田佳彦首相(民主党代表)は12日、連立政権を組む国民新党代表の自見庄三郎金融相と公邸で会談した。この中で自見氏は、消費税増税関連法案の国会審議に関し「障害を取り除くぐらいの決意と迫力でやってもらいたい」と述べ、参院で問責決議を受けた田中直紀防衛相と前田武志国土交通相の交代を要求した。
首相は2閣僚を続投させる意向を表明しているが、連立与党からも公然と批判が出たことで厳しい立場に追い込まれた。
野田内閣の閣僚が、問責2閣僚の交代を求めたのは初めて。自見氏は会談で、3月の消費税増税関連法案の閣議決定に関し「わが党は大変高い代償を払い、苦渋の選択で協力させてもらった」と強調。増税に反対して亀井静香前代表が離党した国民新党の分裂騒動を引き合いに出し、首相にも問責2閣僚交代を含む決断を促した。
これに対し、首相は「感謝している。どうしても(増税を)実現したいので、ぜひ一緒にやっていこう」と述べ、法案成立に向け引き続き協力を要請。ただ、問責2閣僚の交代要求には明確に返答しなかった。
自見氏らは、問責2閣僚の交代に強く反対している民主党の輿石東幹事長の意向を無視し、首相が閣僚交代に踏み切るのは困難と判断。今回の交代要求発言には「今こそ連立与党からジャブを打った方がいい」(国民新党幹部)と援護射撃をする意味合いもあったが、首相は最後まで慎重姿勢を崩さなかったという。
これに関連し、民主党の前原誠司政調会長は12日、問責2閣僚について「首相は大局に立って考えるのではないか」と述べ、首相が今後、交代を視野に検討するとの見通しを示した。沖縄県浦添市で記者団の質問に答えた。(産経)>
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