9718 野田・谷垣再会談と野田・小沢会談の綱引き  古沢襄

二月二十五日の野田・谷垣会談で両氏は消費増税法案に自民党が協力する代わりに、首相が衆院解散・総選挙を確約する「話し合い解散」を模索したとされている。この会談は両氏が否定し、真相は藪の中だが、野田首相の側近である藤村官房長官が自民党の大島理森副総裁に再会談を持ちかけていたことが分かった。
自民党側は小沢氏と決別する首相の「覚悟」も見えず、「話し合いの環境は整っていない」(幹部)として、野田・谷垣再会談を断り、当面は民主党内の情勢を見極めることにしている。
この情報が永田町に伝わるや、民主党内の小沢一郎元代表を支持する消費増税反対派には、首相と自民党の接近に対する警戒感が広がった。疑心暗鬼に駆られている。
当の藤村氏は16日午前の記者会見で「事実無根だ」と否定。火のないところに煙が立つ筈はないのだが、一日中、打ち消しに追われた。話し合い解散をやらせない輿石幹事長と、野田・谷垣再会談を模索する藤村官房長官の綱引きが始まっている。
輿石幹事長は早速、官邸を訪れ、野田首相と約30分間、藤村氏を交えずに二人だけで会談した。会談内容は明らかにされていないが、首相が小沢氏と会うことを薦めたとみられる。
<野田佳彦首相(民主党代表)側が自民党の谷垣禎一総裁側に2回目の党首会談を打診していたことが発覚し、民主党内の小沢一郎元代表を支持する消費増税反対派には、首相と自民党の接近に対する警戒感が広がった。
一方、谷垣氏側は小沢元代表と決別してでも消費増税法案を通そうという「覚悟」が首相に見えないとして再会談を拒否。首相側にも衆院解散・総選挙を協力の条件とする姿勢を崩さない谷垣氏側への不信感があり、与野党に募る疑心暗鬼が消費増税法案の行方を一層、不透明にしている。【佐藤丈一、光田宗義】
再会談の打診が報じられた16日、首相官邸と自民党の双方が否定に追われた。
藤村修官房長官は記者会見で「事実無根だ」と述べ、藤村氏自身が自民党の大島理森副総裁に「党首会談をお願いしたい」と申し入れたとの毎日新聞の記事内容に対しても「なぜああいうカギかっこ付きの発言にされたのか意味が分からない。抗議している」と強く反論した。(毎日)>
<野田佳彦首相が自民党の谷垣禎一総裁に大型連休中の再会談を持ち掛けていたことは、消費増税関連法案の成立へ自民党の協力を当て込む首相の姿勢を改めて浮き彫りにした。
ただ、同党への接近は、民主党内で増税に反対する小沢一郎元代表の排除と表裏一体の関係にある。輿石東幹事長は党の分裂回避を最優先する立場で、増税法案をめぐる政権内のあつれきが強まりつつある。
再会談は、首相側近の藤村修官房長官が自民党の大島理森副総裁に打診した。自民党側は、参院で問責決議を受けた前田武志国土交通相と田中直紀防衛相の更迭に首相が応じないことなどから「時期尚早」と拒否した。
小沢氏ら増税反対派を抱える民主党執行部は、党内融和に腐心している。輿石氏が14日の記者会見で、自民党が模索する衆院の「話し合い解散」を否定したのも、「頭越しに自民党とは組まない」という小沢氏らに向けたメッセージとみられていた。
輿石氏も今月上旬、大島氏と接触。消費増税や衆院選挙制度改革などをめぐり協力を求めたとみられるが、民・自のトップ会談を急ぐ首相官邸サイドとは温度差がある。
再会談打診が判明するや、輿石氏は周辺に「話し合い解散をするのか? できるわけがない」と不快感を示し、党幹部の一人は藤村氏に電話で「こんなことをしていては党内は持たなくなる」と抗議した。
小沢氏周辺も「小沢切り」への警戒感を強めている。若手の一人は「(首相が谷垣氏と再会談しても)『民主党内をまとめてこい』と言われるのがオチだ」と語った。
輿石氏は16日午後、首相官邸を訪れ、首相と約30分間、2人だけで会談した。輿石氏は会談内容を明かさなかったが、同氏は党内融和を図るために首相と小沢氏が会談する必要性を説いており、実現に向けた調整を行ったとみられる。
ただ、小沢氏周辺は「(消費税問題で)折り合いを付けるのは難しい。すぐには無理だ」としており、会談が実現するかは不透明だ。(時事)>
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