9726 三筋で引っ張り合う綱引きはややっこしい  古沢襄

”綱引き”は一本の綱を両方で引っ張り合う。ところが今の政局は、民主党の二つの勢力の綱引きだけでない。一本の綱の真ん中からもう一本の綱が出ていて、この綱は自民党が握っている。
野田首相と自民党の谷垣総裁が同じ方向に綱を引っ張れば、小沢一郎氏がいかに剛腕であろうとも、引っ張り負けしてしまう。消費増税法案は民主党と自民党の協力で今国会で成立する理屈となる。
この数日間、消費増税法案に反対する小沢氏の方が綱をグイグイと引っ張っているかにみえる。このままなら輿石幹事長が考えているといわれる”継続審議”になりそうな雲行き。
それもこれも自民党の谷垣総裁が、野田首相の再会談の申し入れを断ったことから様子が変わってきた。
野田首相と同じ方向に綱を引っ張る条件として、自民党は①問責決議を受けた田中防衛相ら2閣僚を続投させる限りは再会談に応じない②あくまで解散・総選挙を求める・・・としている。
様子をみていた輿石幹事長は、好機とみて綱をグイグイと引っ張りだした。①田中防衛相ら2閣僚の交代はない②総選挙は来年夏の衆参ダブル選挙になる・・・というかけ声でエイエイと綱を引っ張っている。
頼みの自民党が非協力の姿勢を濃厚にしてきたから、野田首相は次善の策を含めて戦略の練り直しを模索しているというのが、現状ではないか。女房役の藤村官房長官も思案投げ首の態。
だが、この結果、自民党内にも谷垣総裁とは違う動きがチラホラしだした。消費増税法案は自民党も基本的には賛成の方向にある。選挙の争点にはならない。
森元首相は今国会で消費増税法案を成立させ、選挙は来年夏の衆参ダブル選挙と以前から言っていた。谷垣ペースの強行策で突っ込んでいくと、アブハチ取らずになるとみたわけである。十七日の額賀派総会で額賀福志郎氏が「消費増税も社会保障の中身も決められず、解散もできない事態は最悪。我々の言い分を聞いてくれるなら、協力していきたい」と述べた。
読売新聞は「衆院解散・総選挙の確約を協力条件に掲げる谷垣総裁に異論を唱えたもの」としている。当の谷垣氏は「問責決議を受けた2閣僚への答えがないのに『よろしくやろうぜ』という話は難しい」と突っ張っているのだが・・・。三筋の綱引きだからややっこしい。
<自民党の額賀福志郎元財務相は17日の額賀派総会で、社会保障・税一体改革関連法案への対応について「消費増税も社会保障の中身も決められず、解散もできない事態は最悪。我々の言い分を聞いてくれるなら、協力していきたい」と述べ、自民党の対案を政府・民主党が受け入れることを条件に、政府・与党に協力すべきだとの考えを示した。
衆院解散・総選挙の確約を協力条件に掲げる谷垣総裁に異論を唱えたものだが、額賀氏は「消費税率引き上げ関連法案の成立時に解散を勝ち取れなくても、党内抗争がないようにすべきだ」とも述べ、今国会中の解散がない場合でも、「谷垣降ろし」は自粛すべきだとの考えを示した。(読売)
<自民党の谷垣禎一総裁は17日の記者会見で、野田佳彦首相からの再会談要請を拒否したことについて「問責決議を受けた2閣僚への答えがないのに『よろしくやろうぜ』という話は難しい」と述べ、田中直紀防衛相ら2閣僚を続投させる限りは会談に応じない考えを示した。(産経)>
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