<岡田克也副総理は19日、東大で講演し、実質審議入りした消費増税法案に関し「どうしてもこの国会でやらせていただきたい。野党の皆さんも反対一辺倒ではなく、最後は必ず成就できる」と述べ、今国会での成立に自信を示した。
また、岡田氏は、民主党の小沢一郎元代表らが消費増税に反対していることに触れ「何が何でも反対ではなく、その前にやることがあるという意見だ。党として決めたことだから、採決には賛成していただける」と述べた。(時事)>
成るようにしか成らないと、突き放してみている消費増税政局なのだが、ひと時代前の自民党には舞台回しに長けた政治家がいた。今の民主党には、この手の政治家がいない。野田首相の黒子役・藤村官房長官はどうみても役不足。岡田副総理は原理・原則論者。
その岡田氏が講演で「野党の皆さんも反対一辺倒ではなく、最後は必ず成就できる」「(小沢氏は)何が何でも反対ではなく、その前にやることがあるという意見だ。党として決めたことだから、採決には賛成していただける」・・・と述べたが、本気でそう思っている党員は少ない。
誠心誠意が看板の野田首相、今や突っ張り専門になった自民党の谷垣総裁では、どう折り合いをつけるのか、先の見通しがつかない。ふたりとも、九月の代表選や総裁選挙を控えているから、時間が経てばますます妥協のチャンスが狭くなる。
岡田氏がいう「消費増税法案の成立に自信」という楽観論は、どこを叩けば出てくるのだろうか。
焦点となった参院の攻防戦で、みんなの党の11議席を味方に引き込めば、与野党が互角の勢力になる。図式上の計算は次のようなものである。
与党系110議席+みんなの党11議席=121議席
野党系132議席ーみんなの党11議席=121議席
しかし、このような裏工作は、みえてこない。公明党19議席を味方に引き込めば、もっと確実に消費増税法案の成立が可能になる。
与党系110議席+公明党19議席=129議席
野党系132議席ー公明党19議席=113議席
だが、みんなの党も公明党も民主党の誘いに乗る気配はない。「野党の皆さんも反対一辺倒ではなく、最後は必ず成就できる」という岡田氏の希望的な観測は、裏工作なしの願望でしかない。裏工作が不得手の岡田の言うことだから、よけい実現性が乏しいと言わざるを得ない。
杜父魚文庫
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