<野田総理大臣は、衆議院の「1票の格差是正」について「最優先」だとして、与野党で選挙制度改革の早期合意を目指す考えを強調しました。
野田総理大臣:「格差是正は最優先の最重点、最重要という位置づけがある。これをだらだら延ばすことはできない」
一方で、野田総理は衆議院の解散・総選挙について、「自分の腹の中で必要な時に行う」と述べ、1票の格差が是正されなくても、総理の解散権は縛られないという認識を示しました。
衆議院の選挙制度改革を巡っては、民主党の輿石幹事長が自民党など野党に、23日の幹事長・書記局長会談を呼びかけています。野党も会談には応じる方針ですが、1票の格差是正を先行させたい自民党と選挙制度の抜本改革を求める公明党など中小政党との温度差が大きく、合意のめどは立っていません。(テレビ朝日)>
この情報のミソは、衆議院の「1票の格差是正」について「最優先」だが、1票の格差が是正されなくても、総理の解散権は縛られないという点にある。
22日、民主党の輿石幹事長は小沢元代表と会談して、野田・小沢・輿石三者会談をセットした。今週中に三者会談が開かれるであろう。
野田首相は消費増税法案を今国会で成立させたい、会期延長も行うと言うのではないか。小沢氏が妥協して黙認すれば良いが、おそらく反対するであろう。間に立つ輿石幹事長は消費増税法案の継続審議によって両者の対立を回避する提案をするのではないか。
三者会談は恐らく物別れに終わるのではないか。しかし首相は小沢氏に三顧の礼を尽くして協力を要請した実績が残る。一種の手続き論ではあるが、小沢氏が蹴飛ばしたことによってフリーハンドを得たことになる。
すでに今国会の会期は一ヶ月を切っているから、これから自民党の協力を仰ぐために野田・谷垣再会談を持ちかける余裕はないとみる。
残された道は、野田首相の決断によって解散・総選挙に踏み切ることではないか。解散詔書に署名を拒む閣僚は罷免しなければならない。だが菅前首相が就任直後に”脱小沢”人事を断行したよって、内閣支持率がV字回復をみせたことがある。
消費増税法案の成立を図るために、自民党に押し込まれた解散を迫られるよりは、死中に活を求める解散の方が、一時的とはいえ内閣支持率の回復に寄与する可能性がある。
「野田氏は昼行灯」という首相周辺にある人の見立てだが、この可能性はゼロではない。野田首相にその覚悟があるか、という問題なのだ。それを意識した「1票の格差が是正されなくても、総理の解散権は縛られない」だったら、覚悟の一端がみえるのだが・・・。
杜父魚文庫
9752 「野田氏は昼行灯」という首相周辺の見立て 古沢襄

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