9762 懲りない中国 新幹線工事を再開  宮崎正弘

「人の噂も七十五日」、懲りない鉄道部の面々がまたも法外膨大な予算要求。事故の反省は十ケ月もあれば十分、新幹線のスピードをあげ、日米欧の技術は輸出へ。
昨年7月23日の新幹線事故では40名が死亡、200名近くが負傷した。あれから十ケ月が経って、「反省なんか、もういいジャン」とばかりに懲りない面々が立ち上がった。
凍結されていた鉄道工事の再開である。
それも昔の計画に立ち戻り、現行8358キロから2020年には1万6000キロに。廃棄されたはずの新幹線計画が復元された。すでに中国経済のなかに組み込まれしまった鉄道建設は、鉄鋼、建材、セメント、電気工事、電線、駅舎、その他ありとあらゆる産業の基幹であり、雇用は莫大であり、昨夏から凍結された区間工事では、失業が溢れて暴動騒ぎに発展したところもでた。
また武漢から宣昌間(291キロ)の新幹線工事では地盤がごっそりと落盤事故にあって大幅に工期遅れ。
昨冬、やっと開業に追いつけた広州南から深せん(一日36往復)も、その先の香港乗り入れ工事の目処が立っていない。大連―瀋陽間はレー不敷設工事が終わっているが、いつ開業がまだ発表がない。
2011年末の累積赤字は2兆4298億元(邦貨換算31兆6000億円)。 
だから工事を再開し、計画を復元し景気を回復する中軸のプロジェクトと昇化させようとするのが鉄道部の思惑、汚職で悪いイメージの払拭もはかりたいのだろう。
 
2010年の鉄道部の予算は7091億元だった。11年に4690億元に激減され、34%のカット。このため不払いが82億元も生じたが同時に使途不明金が5億元と報告された。
2012年の鉄道部新規プロジェクト予算は4000億元が増加される予定という。
「人の噂も75日」。しかし良いんですかね、こんなことで。独シーメンス、加ボンバルディア、日本の川崎重工が提供した技術を「中国独自の特許」だと言い張って世界に新幹線の輸出も始めた。
 
杜父魚文庫

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