今朝の毎日新聞で、久しぶりに「山梨県教組」の文字を見つけました。それは1面の「職員政治活動に刑罰 大阪市、条例提案へ」という記事の関連記事(2面)にありました。記事は、大阪市が市職員の政治活動を国家公務員並みに厳しく規制し、罰則規定を盛り込んだ条例案をまとめたという内容で、山梨県教組が出てくるのは以下のくだりです。
《自民党は小泉純一郎首相時代の05年、地方公務員の政治活動を制限し、罰則規定を設ける法改正を検討した。04年に発覚した大阪市の厚遇問題や山梨県教組の選挙活動などを挙げ、「労働組合が公務員制度改革の障害になっている」と指摘。民主党支持母体の公務員労組を弱体化する狙いが見え、自治労の弁護団は「思想・表現の自由を侵害する」と猛反発。結局、05年夏の郵政解散を巡る混乱などで提出は見送られた。》
この経緯はちょっと私の認識と異なる部分があります。当時、この問題を熱心に取材していたのは新聞各紙の政治部記者の中でたぶん私1人だと思いますが、この自民党が準備した地方公務員法改正案と教育公務員特例法改正案がつぶれた理由は違います。
それは、以前のエントリにも記しましたが、地方公務員の現業職を中心として地方公務員に支持母体の創価学会員がたくさんいる公明党が、いったんは自民党との幹事長会談で法改正を合意しておきながら、党本部に殺到した「これでは選挙運動ができない」という抗議に驚きひるみ、あっさりと約束を反故にして法改正に反対しだしたからです。
あのころ、衆議院議員会館でたまたますれ違った公明党幹部(後に落選)に、「国家公務員には罰則規定があるのに、地方公務員にはそれがないため、違法な選挙活動をやり放題になっている。やはり法改正は必要ではないか」と詰め寄ったことがありますが、相手は「憲法に抵触する可能性がゴニョゴニョ」と逃げました。いったん自民党との間で合意しておきながら、後で憲法解釈を持ち出す姑息さを今も想い出します。
それ以降、自民党側が、公明党の支持者層と重ならないように、地方公務員法改正案は取り下げて、教育公務員特例法改正案だけでもやらせてもらえないかと申し込んでも懇願しても、公明党は羮に懲りて膾を吹くばかりで、もう二度と手を出そうとしませんでした。
いま、日教組出身の輿石東氏が民主党の幹事長として権勢をほしいままにしているのも、このときの公明党の「グズラ」な対応が遠因にあると言えます。もし自治労や日教組が選挙運動を表立ってできなくなっていたら、権力基盤も求心力もとっくに失っていたでしょうからね。
ちょっと回想部分が長くなってしまいました。大阪市の橋下徹市長はきょう午前の登庁時の記者ぶらさがり取材に、こんなことを述べています。
橋下氏 国家公務員は罰則がある。国家公務員と地方公務員の区別はない。地方公務員ではたまたま罰則が抜けている。学説でも、罰則がたまたま抜け落ちているという方が多数じゃないか。区別する必要はない。
記者 全国初だ。これまで数十年やってこなかったことだ
橋下氏 それは国会議員がきちんと対処しなかったから、国家公務員と地方公務員を分ける理由があるなら、教えてもらいたい。法律以上に制限を加えるわけではない。国家公務員法がある以上、そこまでは当然できる。(以下略)
……この動きには期待せずにはいられません。これは単に大阪市だけの話にはとどまらず、維新の会が国政に進出すれば必ず全国に波及する問題だと考えるからです。公務員労組の旧弊と宿痾、そしてそれに乗っかった労組議員の問題を正常化する第一歩となってほしいと願います。
維新の会については、いろいろな意見が寄せられていますが、私は、明らかにおかしいこと、法律やルールに反したことが、それがただ昔からの慣習であるというだけで誰も疑問視せず、延々と続けられているような閉塞状況に、橋下氏らが切り込んでいることは高く評価したいと思います。
それにつけても、早く衆院・解散してほしいものですね。
杜父魚文庫
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