これじゃ新幹線プロジェクトと同じ、拙速、がむしゃら。技術の背伸び。中国は66ケ国で、じつに300のプロジェクトを推進中。
中国は国内だけでは飽きたらず、海外へ、特許契約に違反しても平気で大型プロジェクトを低利融資を付帯させて輸出する。政経分離ではなく政経一致である。
ロシアのジェット戦闘機技術をライセンス生産し、契約を反故にして、ほかの国へ輸出したためロシアは怒った。ジェット戦闘機の部品供与を中断し、空母ウクライナのカタパルト技術をプーチン政権は中国軍に渡さなかった。
最先端のステルス技術をどこかで入手して、中国はステルス戦闘機の弐回目のテスト飛行をおこなったが「この第五世代のステルス戦闘機(J-20「マイティ・ドラゴン」)は米製「F22=ラプター」に酷似しており、米国かロシアから盗み出した技術だ」(英語版プラウダ、5月21日付け)。
独・加、そして日本の三カ国から仕入れた新幹線技術は、「あれは中国の独自開発」と偽って新幹線車両ばかりか、その高度技術を海外へ輸出しようと動いた。日本の車両メーカーは275キロ以上出した場合、責任は取らないという念書を中国の新幹線製造メーカーの責任者からとった。
そして2011年7月23日、浙江省温州で300キロを平気でだした後続車が追突、先頭の三両が脱線するという痛ましい事故が起きた。悲惨だったが、日本の所為だと、いつものイチャモンは無かった。身から出たさび。
欧米からパクッた技術は他にもあるが、中国が国家ぐるみ、助成金をつけて開発した風力発電、太陽パネルでも、面妖なビジネス抗争が起きており、これから各国との訴訟合戦も始まるだろう。
ジム・ファローズが冷たく言い放った。「中国の現象的な成功の実態とは脆弱さと失敗の証明でもある」(ヘラルドトリビューン・アジア版、2012年5月28日)。
▼せっかくつくったのに五万ケ所でダムが破損したりし、既に発電をやめている
さて中国の水力発電である。巨大ダム建設による発電は、他方において地盤沈下、地震、異常気象をともない、想定外の豪雨などをもたらした。とくに世界一といわれた三峡ダムは上流地域で地震の頻発、下流地域では洪水の懼れによる立ち退き計画が立案され、また洞庭湖、番陽湖などが干し上がった。
貴州では異常気象により河川が干ばつ、すでに1000の工場に電力がこないため、操業停止に追い込まれた。乱開発のダムの所為だという(ジェイムズタウン財団「チャイナブリーフ」、5月25日号)。
一方で既存のダムの五万個所で非効率や破損のため発電をやめているが、その発電プロジェクトにまつわる幾多のスキャンダル、汚職、無駄な投資という批判が渦巻いている。
海外へのダム建設プロジェクトの供与も活発化した。じつにメコン川上流に13のダム、イラワジ河上流に26のダム建設等々。実際に過半の計画は実行に移され、建設が始まっている。
ところがミャンマーは北東部カチン族居住区で中国が建設を開始していた巨大ダムのプロジェクトを中断した。テイン・セイン政権はカチン族との宥和政策を優先し、中国にしか裨益しないダムにはNOと言ったのだ。
すっかり中国は慌てたが、同様な動きは中国と国境を接するラオス、ベトナム、バングラデシュ、ネパール、インドで顕在化している。
なぜ止めないか。現在推進中ならびに計画中のダムの総費用は1360億ドルと推計されており、この巨大な利権をおさえる中南海の政治家が、みすみす巨額の賄賂収入を辞退することはありえないだろう。(註 番陽湖の「番」には「こざと」)
杜父魚文庫
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