昨日の国会事故調の菅直人前首相参考人聴取の件は、もうなんかお腹一杯というか、あまり振り返りたくもないのであれこれ論評するのは控えます。ただ、最後に菅氏が、昨年3月15日未明に東電本店に乗り込み、部屋の外にいた記者にもはっきり聞こえる大声で「撤退したら東電はつぶれるぞ!」などと怒鳴り散らしていた件について、以下のように述べていたので参考までに掲載しておきます。
まあ、菅氏の話法、修辞、言葉の用い方、その背後にある性質、気質については、これも今までさんざん書いてきたのであえて記しません。昨日は国会事故調の追及も妙に甘く、弛緩していたように感じたし、それに答える菅氏の様子も相変わらずで疲れました。
野村修也委員(中央大法科大学院教授) 総理、私どもがヒアリングした限りでお伝えしたことがあるので申し上げますが、総理は15日の朝に東京電力本店に行かれて、それで多くの方々の証言では叱責をされたということだが、このご様子がいまご発言された相手の福島原発におられた作業員の方々にも届いていたことは、その時お考えになってご発言されていたんでしょうか?
菅氏 私がどういう話をしたかというのはかなり表に出ておりますが、私の気持ちで申し上げると、叱責という気持ちはまったくありません。直前に撤退という話があったことは、それを清水社長に「撤退はありませんよ」といった直後でありますから、まだみなさんがそのことで意思一致されているかどうか分かりませんでしたので、「なんとか一番厳しい状況はみなさんが分かっておられるだろうと。だから、本当にこれは命をかけても頑張ってもらいたい」という、そういうことを強くは言いました。
それから撤退しても、つまり、現場から撤退しても放射能はどんどん広がるかっていくわけですから、そういう意味で「撤退しても逃げ切れませんよ」ということを言いました。そういうことは言いましたけれども、現場にいる皆さんを何か叱責するとか、そういう気持ちはまったくありません。
それからそういう皆さんが聞いておられたということは後になって気付きました。つまりは私も東電に入るのは初めてですから。東電のそういうところに。入ってみると大きなテレビ会議のスクリーンが各サイトとつながっていて、24時間、たとえば第二サイトの状況が分かるようになっていました。ですから、後になって、あそこで私が話したことは、そこにおられた200名あまりのみなさんだけではなくて、各サイトで聞かれた方もあったんだろうと。私はそれを公開する、しないという話があったが、私自身は公開していただいてもまったく構わないというか、決して私が止めているというわけではありません。
それを聞いて頂ければ、私がですね、いろんなことを申し上げたが、最後には60歳を超えている会長とか、社長とか、私などはある意味先頭切って行こうじゃないかということも申し上げたわでありまして、決して現場の人に対してね、なんか叱責するというような、そういう気持ちはまったくありませんでしたので、そこだけは是非ご理解頂きたいと思います。
野村氏 お気持ちはよく分かるが、その前にまさに会社のために、国のためにということで自分たちが命を張っておられる方が、まさか現場から逃げることはないと伝わっているわけですよね。で、電話で確認されているわけです。枝野官房長官、昨日の発言であれば現場にも連絡して撤退の意思がないと確認はされているわけですが、そういう方々が総理が来られて、自分たちは撤退するつもりがないと思っている方に「何で撤退するんだ」ということを怒鳴っている姿は、やはり今まさにサイトと、命をともに、これを何とか防いでいこうと思っておられる方々に対する態度として、先ほど人としてというご発言がありましたけれども、何か反省すべき点はないんでしょうか?
菅氏 同じことになるんですけれども、私は本当に叱責するというような気持ちは、特に現場の皆さんに対してそういう気持ちはまったくありません。先程来、撤退の経緯についてはいろいろお聞きになったが、少なくとも私が3時に起こされた時点では、撤退するということを社長が経産大臣に言ってきたという、そこからスタートしているわけです。ですからその意思は、普通に考えれば東電の、少なくとも上層部は共有されていると理解するのが普通だと思うんです。
私は本店に入ったので、そこには上層部の幹部の人が基本的にはおられたわけです。現場のところにもテレビ電話でつながっていたかもしれないが、私自身はそのことは、そこにおられる幹部の皆さんに撤退ということをもし考えておられたとしても、それは考え直して、なんとしても命がけでも頑張ってもらいたい。そういう気持ちで申し上げたんでありましたんで、そこは是非ご理解いただきたいと思います。
田中耕一委員(島津製作所フェロー) 今の叱責されることに関してだが、前々回の海江田氏が「初めて会われた方には(菅氏の演説は)違和感がある、誤解されやすい」と。また前回の海江田氏(←枝野氏の間違い?)からはスポークスマン、上に立つものとして分かりやすく話すべきだというふうにおっしゃられた。今振り返って、上に立つものとしてどうあるべきか。これからの未来に対しての話になると思うが、何かございますか?
菅氏 私の言葉が受け止められる方にとってはやや厳しく受け止められたとしたら、そのこと自体は私の本意ではありませんので、その点については、もしそういうことがあれば申し訳なく思っております。私の本意は、その時を含めていろんな場面がありますけれども、海江田さんとも40年来の古いおつきあいでございますが、やはりこれは政治家でなくてもそうだと思いますが、はっきりものをいわなければいけないときはあるわけです。
その意味で私が、たとえば清水社長に「撤退はありませんよ」と言った。あるいは大勢の前で皆さん分かっておられるかもしれないが「撤退はしないでくださいよ」と言ったことは、私からすると私の気持ちを率直にお伝えしたいと思ったわけで、決して叱責のつもりでもありませんし、何か、よく怒鳴ったと言われるんですが、まあ、私の夫婦げんかよりは小さな声でしゃべったつもりでありますけれども、少なくともそういう何か怒ったとか、誰かを叱ったというつもりで申し上げたんではなくて、はっきりものを言うために多少声が大きくなったことはあって、それが不快な念を受け止められた方があったとすれば、それは申し訳ないと思います。
……まったく、反省もなければ自身を客観視することもない人ですね。実際、複数の議員や官僚から聞きましたが、菅氏とまともに話すには、まず怒鳴り合う必要があるそうです。菅氏側がなにやらわめいて攻撃してきたら、それにひるまず同様に「ワーッ」と言い返さなければならないと。そうして初めて普通の会話が成り立つようになるそうです。菅氏は「政治は野良犬のけんか」を持論としていますし、対人関係でもまず吠え合って力量を計らないと安心できないタイプなのでしょう。
世の中には、ごく自然に相手を不快にする人、当たり前のコミュニケーションの難しい相手もいるんだろうなとは理解できますが、そんなのが首相や上司だったらたまらないなとつくづく思う次第です。このクソつまらない嫁ネタももううんざりですしね。……もういいや、ここらでやめます。
杜父魚文庫
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