9799 率直に民意を求めるべき時期  古沢襄

今国会で消費税増税関連法案を成立させるつもりなら、自民党との修正協議に向けた環境整備に早く手を染めるべきだ。エンドレスの小沢氏との会談に時間をかけている余裕はない。
参院で多数派を得ていない民主党にとっては自明の理ではないか。その結果、解散・総選挙が必要となれば、党利党略に堕することなく、率直に民意を求めるべき時期にきている。
<<野田・小沢会談 首相は「本気度」を見せよ>>
<野田佳彦首相が今国会で消費税増税関連法案を成立させる「本気度」を示す好機を迎える。30日の小沢一郎元民主党代表との会談である。
しかし、消費税増税について小沢氏は、「国民との約束を忘れては、政権交代の意味がない」と反対姿勢を鮮明にしている。首相も翻意が望めないことは分かっているはずだ。
6月21日の国会会期末まで1カ月を切り、法案成立は事実上困難になっている。首相には先行きが見えない小沢氏との会談に時間をかけている余裕はあるのか。首相が取り組むべきは、自民党との修正協議に向けた環境整備だ。
まず、参院で問責決議を受けた前田武志国土交通相と田中直紀防衛相の2閣僚の問題がある。閣僚の地位利用など公職選挙法に抵触する疑いが持たれた前田氏と、安全保障担当には不適格とされる田中氏の更迭が求められている。
さらに民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げ、年金改革案の柱と位置づけている最低保障年金の撤回なども必要だろう。
最大のポイントは、社会保障と税の一体改革を、よりよい内容にすることだ。デフレ脱却を実現する具体策などを与野党でまとめるべきだ。社会保障も高齢者優遇を是正しない限り、持続可能な制度とはいえない。
自民党の茂木敏充政調会長は、医療、年金、介護など社会保障政策全般を有識者が協議する「国民会議」を設置することを、衆院一体改革特別委員会の審議の中で政府側に提案し、この創設を柱とする社会保障制度改革基本法案の骨子もまとめた。
政府・与党の出方を見て法案提出時期を探る駆け引きの面もあるが、野田首相が提案に対し「国民会議のようなものは必要だ。そういう協議はどんどんやりたい」と語ったように、与野党協議に入る好機到来である。
首相は小沢氏との会談について「乾坤一擲(けんこんいってき)だ」「一期一会のつもり」などと語った。両氏の会談について、党内に亀裂が生じるのを避けたい輿石東幹事長は「タイムリミットはない」と再会談も想定しているようだが、成果は望めないだろう。
そもそも、小沢氏との会談の意味もよくわからない。党内融和を重視しているようでは、「政治生命を懸ける」という首相の覚悟はどこにも見えない。(産経)>
杜父魚文庫

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