注目の野田・小沢・輿石三者会談から一夜明けて、民主党内情勢は徐々に明らかになりつつある。特徴的ななのは前原政調会長ら首相周辺の発言力が強くなったことではないか。
夜回り取材を通じて「首相は小沢氏との決別を宣言しなくても、このまま自民党との連携にかじを切る」との観測が強まった。六月初旬には衆院での消費増税関連法案採決が迫っているが、これに先立ち来週にも内閣改造を行う可能性がある。(読売)
また小沢氏との会談は党内融和を最重視する輿石氏の顔を立てたとの見方が強い。したがって再会談については首相周辺からは積極的な動きがみられない。むしろ小沢氏説得に時間を空費すべきでないとの声が支配的となっている。
<消費増税関連法案の採決に向けたセレモニーとするのか、党内融和の道をなお探るのか-。30日行われた野田佳彦首相と小沢一郎民主党元代表の会談は、大方の予想通り平行線に終わった。再会談の可能性について、記者団に「もう1回(会談の内容を)反すうしながら考えたい」と語った首相。法案の成否を含め、政権の命運を左右する首相の決断に、与野党の関心が集まっている。
30日午前11時、民主党本部8階の代表応接室。会談は中央のソファに首相が座り、その右手に小沢氏、左手に仲介役の輿石東幹事長が腰を下ろす形で始まった。今月上旬に引いた風邪が治らないとこぼす小沢氏に、輿石氏が「酒もおいしくないでしょう」と水を向けると、小沢氏は「でも夕方には飲みたくなる」。酒豪で鳴らす首相も笑顔で耳を傾けた。
だが、和やかな雰囲気だったのはここまで。本題の消費増税法案の扱いに入ると、「財政も厳しい状況で待ったなしだ」と成立への協力を求める首相に対し、小沢氏は「今のままでは国民に理解されない」と、険しい表情で増税反対論を展開。1時間半に及んだ議論で双方の溝が埋まることはなく、首相は会談後、記者団に「合意形成には至っていない」と説明した。
民主党内で首相を支える議員らは会談前、「会うのは1回だけにしてください」と進言。首相も「時間稼ぎは良くない」と、再会談には消極的な考えを示したという。首相側近は会談後、「(小沢氏との)決別を宣言しなくても、このまま(自民党との連携に)かじを切る」と語気を強めた。
6月21日の会期末まで残り3週間余り。消費増税法案をめぐる与野党の修正協議はいまだに始まっていない。「政治生命を懸ける」という言葉とは裏腹に具体的な動きが見えないとして、自民党は首相への疑念を強めている。こうした中、民主党内の主流派では、小沢氏説得に時間を空費すべきでないとの声が支配的だ。
前原誠司政調会長は30日、記者団に「党で決まったことには従ってもらう。あとは首相がどう判断するかだ」と述べ、再会談は不要との考えを強く示唆。玄葉光一郎外相も記者会見で「3回、党で決めていることを蒸し返しても仕方がない」と首相に決断を促した。
小沢氏との会談に消極的だったとされる首相が直接説得を試みたのは、党内融和を最重視する輿石氏の顔を立てたとの見方が強い。輿石氏は会談終了間際、党富山県連所属の元参院議員から託されたホタルイカの沖漬けの瓶詰を首相と小沢氏に手渡し、「党がどうなるのか全国に心配している人がいる」と付け加えた。
一方、小沢氏は会談後、記者団に「一党員だから、呼び出されればどこへでも行く」と語り、再会談に前向きな姿勢を示した。
首相が自民党の協力を得て、法案の衆院採決に突き進めば、小沢氏ら反増税派も決断を迫られる。造反すれば除籍されるのは必至で、9月の民主党代表選で自らに近い候補を立てるなどして影響力回復を目指す復権シナリオは根本から覆る。小沢氏系若手には「第三極」新党との連携に期待する向きもあるが、「大阪維新の会」を率いる橋下徹大阪市長は小沢氏との連携を明言していない。小沢氏側近は「展望がないからみんな悩んでいる」と苦しい胸中を吐露する。
対立が続く中、党内では中間派を中心に党分裂への懸念も拡大。首相、小沢氏双方と29日までに意見交換した田中慶秋副代表は30日の会談後、「平行線ではない。再会談は当然する」と強調した。(時事)>
<野田首相は、民主党の小沢一郎元代表との30日の会談が平行線をたどったことを受け、自民党に消費税率引き上げ関連法案成立への協力要請を本格的に行う考えだ。
参院で問責決議が可決された前田国土交通相、田中防衛相の交代を含む内閣改造を視野に、自民党の協力が得られる形での環境整備を進める。
自民党は法案協力の大前提として、前田、田中両氏の交代を強く要求している。民主党内では、輿石幹事長らが問責決議を理由とした閣僚交代に否定的だったが、「自民党から協力を得るには2閣僚の交代はやむを得ない。内閣改造の形を取ればよい」(首相周辺)との声が強まった。衆院での法案採決に先立ち、来週にも内閣改造を行う可能性がある。
内閣改造の場合、中国大使館書記官が農林水産省の事業に関与していた疑惑で野党の追及が予想される鹿野農相についても、交代を検討すべきだとの声が出ている。(読売)
杜父魚文庫
9808 「再会談」首相周辺は否定的 古沢襄

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