9809 米軍新鋭軍用機にも中国偽造品が(2)  古森義久

米軍の近代兵器に中国製の偽造電子部品が大量に侵入していたという報告のつづきです。   
<<米軍兵器に巣食う大量の中国製偽造部品 ヘリコプターのレーダーから高度なミサイル迎撃システムまで>>
同表示盤は米空軍の輸送機C130J(主要調達はロッキード・マーティン社)やC27J、C17、米海兵隊のヘリコプターCH46に装備され、パイロットにエンジン や機体、燃料の状況を知らせる。欠陥メモリーチップは表示盤の機能を削ぎ、重大な危険をも招くが、この偽造チップ使用は米軍当局には翌2011年9月まで 通報されなかった。
L3ディスプレー・システムズ社は偽造品をカリフォルニア州の下請け企業から調達したが、その下請け企業は中国・深センの中国企業(前記の企業と は別)から買ったことが判明した。同軍事委員会の調査では、L3社は2009年から2010年までの2年間に同じ中国企業製造の偽造電子部品を合計8万 4000個も購入し、その多くが米軍の兵器に実際に使われたことを確認した」
「2011年8月、ボーイング社は対潜・対艦戦闘用の軍用機として開発し、試験中の自社製『P8Aポセイドン』の氷付着探知モジュールが、中古品を新品のように装った偽造部品だったことが判明したとして、米海軍当局に緊急通報した。
その偽造部品は試験飛行ですでに壊れた実例があり、即時、交換の必要が生じたという。
同部品をボーイング社に納入していた下請けのBAE社は、同種の偽造中古部品数百基の混入に気づき、2010年1月にボーイング社に通告していた。だが、ボーイング社は海軍当局への通報を1年半以上も遅らせた。
BAE社は偽造部品をフロリダ州の下請け企業から、テキサス州の下請け企業を通じて購入したという。軍事委員会は同部品の製造元が中国・深センの企業(上記の2社とは別)だったことを確認した。同モジュールが完全に機能しないと、同軍用機の機体に付着した氷の発見が難しくなり、飛行に支障が起きる」
上院軍事委員会の報告書の核心は以上の通りだった。なんともショッキングな実態である。米軍の兵器の製造や調達のずさんさと同時に、中国側の偽造品・模造品のグローバル規模での横行ぶりのすさまじさが明らかになったと言える。(つづく)
杜父魚文庫

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