六月を迎えた。社会保障と税一体改革関連法案の衆院特別委の審議は、十日ごろに百時間に達するので、衆院採決の環境が整う。会期延長もからめて中旬までには採決に踏み切らねばならない。
問題点は二点。谷垣自民党が採決で賛成票を投じるか、反対票を投じるかの判断を迫られる。賛成票を投じれば、参院でも賛成しなければならない。民主党は後期高齢者医療制度の存続や、新年金制度の撤回をエサに自民党の歩み寄りを促している。問責閣僚の交代も検討しだした。
谷垣総裁は野田首相が衆院解散の確約をすることが、協力の大前提になるとの立場をとっている。森元首相ら長老議員は当面は解散を先送りし、九月の総裁選挙で新しい総裁の下での総選挙を模索している。自民党は必ずしも一枚岩ではない。
自民党内の主戦論派は、「(法案の)採決すれば向こうでどれくらいこぼれるのか白日の下にさらされることになる」と、造反の出方によっては一気に法案を否決して、野田内閣を窮地に追い込み解散・総選挙に持ち込む腹。
もう一つの問題は、衆院採決にあたって民主党の造反票がどれだけ出るかである。消費増税法案に反対しているグループも必ずしも一枚岩ではない。党議拘束がかかる中での造反は離党覚悟の行動を迫れる。総選挙になれば造反議員の選挙区には”刺客”候補を立ててくるであろう。
衆院議席数は480。290議席の民主党は過半数を持っているが、六十人以上の造反票が出れば、過半数を割り込む事態も想定される。しかし造反が解散・総選挙を招けば、選挙地盤が固まっていない一年生議員が多い造反議員の方が多数の落選者を招くというジレンマを抱える。
<軸足はすでに移ったようです。小沢氏との会談が平行線に終わった野田総理。早速、野党に対し、消費税増税法案の採決へ向け法案の修正協議を呼びかけました。加えて、自民党の協力を得るため、小幅な内閣改造を早ければ来週にも行うという見方も出てきています。
平行線に終わった野田総理との会談から一夜明けた31日。「本当に国民の理解と支持は我々にあると確信している」(民主党 小沢一郎元代表)
自らのグループの会合で改めて消費税増税法案に反対する姿勢を明確にした小沢氏。メンバーの議員には消費税増税法案に反対する街頭演説を求めるなど、政権への対立姿勢は強まるばかりです。野田総理とはこれで完全に決別となるのでしょうか?官邸関係者によりますと、総理側は法案の衆議院採決の前に小沢氏との再会談を行う方向で検討しているといいます。しかし・・・
「会談はもう1回だけだ」(民主党幹部)こう指摘する声もあり、小沢氏にとって「最後通告」を突きつけられる場になりそうです。小沢氏と折り合いがつかないことで、法案成立に向け自民党との連携を模索する動きも活発化しています。民主党は31日、自民党と公明党に対し、消費税増税法案など一体改革関連法案についての修正協議を申し入れました。これに対し、自民党は・・・
「総理は国会会期内に採決を行うと言っている。採決、日程的なものとセットで提案してもらわなければならない」(自民党 岸田文雄国対委員長)
安易に協議に応じれば採決の引き延ばしに利用されるだけだとして、採決の日程をあらかじめ提案するよう求めました。
「採決すれば向こうでどれくらいこぼれるのか白日の下にさらされることになる。それを見せればいいんだ」(自民党幹部)
しかし、輿石幹事長は・・・。「修正協議がいつ終わるのか、それも見ないで“この辺で採決するぞ”という方がおかしいんじゃないですか」(民主党輿石東幹事長)
採決の時期は修正協議の行方を見極めてからという考えを示しました。
さらに、修正協議を進めるうえでネックとなっているのが問責決議を受けた前田・田中両大臣の処遇です。政府・民主党では両大臣の交代にとどまらない小幅な内閣改造も視野に検討に入りました。
早ければ来週にも行うという見方が出ています。2人の大臣の交代には輿石幹事長が抵抗していますが、野田総理は1日に輿石氏と会談し、今後の政権運営について協議する見通しです。(TBS)
<今の国会の会期末まであと3週間となった。野田首相は1日、国会対応などについて、民主党・輿石幹事長と大詰めの協議を行う見通し。 民主党・城島国対委員長は先月31日、自民党や公明党に、正式に消費税増税法案などに関する修正協議を申し入れた。
これに対し、自民党は協議に応じる条件として、問責決議を受けた田中防衛相と前田国交相の交代や、今の国会会期中に衆議院での法案採決を行うという、法案成立に向けた具体的な意思を示すよう求めている。
野田首相は2閣僚の交代を含む人事を検討している他、今月中旬には法案の採決を行いたい考えだが、輿石幹事長は、民主党・小沢元代表が反対姿勢を崩さない中、法案採決となれば党が分裂する可能性があることなどから、採決の日程を決めることには慎重な姿勢。
野田首相は1日、輿石幹事長と会談し、残り3週間となった今の国会の対応について詰めの協議を行う見通しだが、会期内に衆議院での法案採決に踏み切るかどうか、難しい判断が迫られている。(日テレ)
杜父魚文庫
9814 六月政局 首相と輿石幹事長が会談へ 古沢襄

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