北京市党大会が延期された。替わりに北京軍区党大会に胡錦涛が軍最高幹部らと出席。周永康は新彊ウィグルで、李長春は四川で党代表にかろうじて当選
異変はまだ続いている。日本において中国人外交官を書類送検、尖閣を東京都が購入に十億円の寄付など、さぞ中国がいきり立っていると勘違いしそうだが、いま中国は「それどころではない」。
反日行動など、とても起こせる状態ではない。そればかりか地区レベルの党大会を延期しているくらいである。
5月23日、胡錦涛は軍幹部の郭伯雄、徐才厚、梁光烈を伴って、北京軍区の党大会に出席していた事実が判明した。
そこで胡錦涛と郭伯雄は「軍は党の支持に従い、部隊を強固に固めなければならない。党中枢に絶対の忠誠を誓い、軍と党を指揮するのではなく、党中央すなわち胡錦涛主席の命令にしたがうことが政治安定に繋がる」と演説した。郭は訪日を取りやめたばかりだった。
北京の党大会は第十八回党大会の北京代表を選ぶ手はずだが、五月中に開催だった日程が六月にもつれ込んだ。意外な延期理由は明らかではないが、現北京市党書記の劉棋が70歳を迎えることと関連があるとも言う。
北京が党大会を五月中に開催するという決定は2011年12月22日付け北京時報が報じていた。
現在までに26の行政区(省レベル)で党大会は終了しており、周永康は新彊で当選、李長春は四川で、温家宝は天津で、胡錦涛は江蘇省で、習近平は上海で、李克強は山東省で、それぞれ当選している。
まだ決まらないのは呉邦国、賈慶紅、賀国強の三人。まだ党大会が開催されていないのは北京市、浙江省、重慶市、寧夏回族自治区そして湖北省の五つ。
こんなおりに福建省福州市では別の異変が起きた。
日本のAV女優、蒼井そらが福州市内のイベント会場に現れるや、車道に溢れるファンが彼女を囲んで、福州市内目抜き通りの交通が麻痺した。彼女のツィッターには一千万人の中国人がフォローしているという。
日本のことをあしざまに批判する中国共産党トップの言動と、庶民の行動がこれほど明確な差異がでた象徴的事件と言えそうである。
杜父魚文庫
9816 尖閣どころでない中国の政情 宮崎正弘

コメント