9823 日本の「静かな外交」の陥穽 古森義久

日本の外交のあり方について、非常に興味をひかれる指摘がありました。わが産経新聞が誇る朝鮮半島専門記者の黒田勝弘氏のコラムです。日本の外交の実態と建前について、その欠陥を凝縮するような指摘です。他の多数の例にもあてはまる、教訓でもあります。
<<【外信コラム】ソウルからヨボセヨ 「静かな外交」失敗>>
日本が領有権を主張している竹島付近で韓国が国際ヨットレースをやっているので、日本大使館は韓国政府に抗議した。今年5回目の大会で「日本の抗議は初めて」と書いたところ「過去にも抗議はしている」と大使館から記事に注文がついた。
こちらは「へえ」と思った。初耳だからだ。過去にも抗議しているのならなぜそれを公表してこなかったのか。竹島問題で日本の外務省は韓国政府への抗議をほとんど公表せず、記者などから聞かれると認めるという姿勢に終始してきた。
相手を刺激しない「静かな外交」だという。相手は終始、官民挙げて内外で日本非難のキャンペーンを展開しているのに、これは時代離れしている。
「静かな外交」で相手が穏やかになり事態が好転したのならともかく、現実は悪化一路だ。領土問題での「静かな外交」は失敗したのだ。韓国に対する抗議をその都度、メディアつまり世論に公表せずにきたことが、竹島に対する日本国民の関心を限りなく後退させ、結果的に韓国のやり放題を招いたといっていい。
国際ヨットレースだって過去、抗議しているのであれば当然、参加各国のヨット関係団体に参加自粛を求める“外交努力”があってもいいはずだ。受け身のことなかれ外交では勝てない。(黒田勝弘)
杜父魚文庫

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