野田首相は四日午前に内閣改造人事を決めて、午後一時半からの記者会見で消費税率引き上げ関連法案の成立に向けて野党の協力を呼び掛ける。
対する自民党は石原幹事長が1日、解散の確約にこだわらない考えを表明したが、谷垣総裁はあくまで法案賛成と引き換えの「話し合い解散」を目指す考え方にこだわりをみせている。六月二十一日の会期末が迫る中で、野田首相と谷垣総裁のトップ会談が必要になろう。
差し当たっては社会保障と税の一体改革関連法案修正協議で、(衆院特別委員会採決の前提となる)中央公聴会など具体的なスケジュールを与野党協議で決めることになる。岡田副総理は中央公聴会日程の提示に関して「野党が求めるならば、誠意を持って応えないといけない」と述べた。
<<内閣改造へ 消費税修正協議の環境整うか(6月4日付・読売社説)>>
消費税率引き上げ関連法案の成立に向けて、野田政権は、体制を立て直し、自民党などとの協議を急ぐべきだ。
野田首相が小沢一郎民主党元代表と再会談し、消費増税法案への理解を改めて求めた。
小沢氏が前回の会談で「増税前にやるべきこと」に挙げた行政改革や経済再生について、首相は「しっかりやり抜く」と強調した。だが、小沢氏は法案への反対姿勢を変えず、物別れに終わった。
小沢氏の主張する政権公約(マニフェスト)の順守や行革、デフレ脱却などの論点は、党内で議論を尽くし、既に結論が出ている。消費増税法案には、行革や景気回復の要素も盛り込まれている。
既に法案審議が進み、与野党協議を始める直前になって、一連の経緯を平然と無視し、論議を再び蒸し返すのは、小沢氏の驕(おご)りであり、全く筋が通らない。
政治資金規正法違反事件で「党員資格停止処分中だった」との言い訳は通用しない。その原因は、元秘書3人の有罪判決を含め、小沢氏側にあるからだ。
野田首相は、小沢氏との会談継続に見切りをつける時である。
首相は会談で、4日に内閣改造を断行する意向を表明した。参院で問責決議を受けた田中防衛相、前田国土交通相の2人らを交代させ、野党との法案修正協議の環境整備を図る契機だろう。
法的拘束力のない問責決議の効力を事実上追認するかのような閣僚交代は本来、避けるべきだが、消費増税法案の成立を優先するためには、やむを得まい。
会談に同席した輿石幹事長は、問責2閣僚交代への反対を取り下げ、内閣改造に同意した。首相は今回の会談で、小沢氏よりも、輿石氏の翻意を促すことに重点を置いたようにも見える。
「党内融和」を旨とする輿石氏は従来、党分裂の引き金となりかねない法案採決に一貫して消極的な姿勢を示してきた。
輿石氏ら執行部は、法案成立を最優先する首相の意を体する方針で腹をくくる必要がある。与野党協議で早期に成案を得るよう全力を挙げてもらいたい。
首相は、法案の衆院採決に向け、正念場を迎えつつある。改造人事では、もう失敗は許されない。
1月の内閣改造の際、田中防衛相の起用には当初から疑問の声が出た。実際、国会答弁などで田中氏の資質が問題視され、野田首相の任命責任が問われた。
首相は今度こそ、「適材適所」の布陣で臨まねばならない。(読売)
杜父魚文庫
9829 内閣改造人事の後は与野党の話し合い 古沢襄

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