<<【外信コラム】ポトマック通信 海軍士官学校の卒業式>>
5月29日に催された米海軍士官学校の卒業式に招かれた。式の最後に卒業生たちがいっせいに帽子を宙に投げるあの式典である。
ワシントン近郊のアナポリスにある広大な同校の競技場に特設された会場は1099人の卒業生やその家族でぎっしりと埋まっていた。真夏のような陽光の下に制服姿の若い男女がきちんと座り、祝辞や送辞に耳を傾ける。卒業生はみな海軍と海兵隊の少尉にすぐ任官する。
主賓のパネッタ国防長官は「祖国の利益や大義、価値観のために戦い、命をも犠牲にする覚悟」を説いた。同長官も他の軍高官らも日本との同盟の絆の重要性を強調したのが印象に残った。
卒業証書は2時間もかけて一人一人に手渡された。今年の成績最優秀はシンガポールから派遣されてきたサム・タン・ウェイシェン氏。学生の学科専攻は海洋工学など理工系が多いが、外国語の専攻はアラビア語と中国語ばかりで、今後の米軍の警戒の視線がどこに向くのかを示していた。
日本の海上自衛隊からの交換士官として同校で航海学を教えてきた筒井大介3等海佐は「卒業生たちは日本自体への知識は多くないとはいえ、対日同盟の重みは認識しているようです」と語る。日本側はどうなのか。ふっと気になった。(古森義久)
杜父魚文庫
9830 若者たちは祖国の防衛を誓った 古森義久

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