9860 混迷の元凶は「ヌエ」一匹・・・ 阿比留瑠比

サルの頭にタヌキの胴、トラの手足、ヘビの尾-。そんな謎の怪物が永田町を跳梁跋扈(ちょうりょうばつこ)している。自民党の溝手顕正参院幹事長はこう嘆いた。
「支離滅裂。まさに例えればヌエのような存在だとしか解釈できない。ヌエのような人が(民主党を)仕切っている」
ヌエとは民主党の輿石東幹事長を指す。「何を考えているのか」「何も考えていないのか」も分からない正体不明な不気味さをずばり言い当てている。
21日の会期末を控え、野田佳彦首相が「命を懸ける」と繰り返す消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法案はいよいよ正念場を迎えた。
ところが、輿石氏は自民党との修正協議をぶち壊すような発言ばかり。会期内の法案の衆院採決を首相に厳命されたにもかかわらず、なお採決日を明言することにも難色を示した。
首相の足を引っ張っているようにしか見えないが、前原誠司政調会長は6日の民放番組でこうかばった。
「輿石氏はむしろ(採決日時を)決めれば、自民党が修正協議をしないまま採決日が来て、結果的に否決され、野田さんが追い込まれると心配している」
これは明らかに詭弁(きべん)だ。自民党は採決日を提示すれば修正協議に応じる考えを何度も表明している。「このまま修正協議を進めず採決できずに21日で国会を閉じたら首相は即死だ」(公明党幹部)との見方の方がよほど説得力がある。
法案を継続審議にして延長せずに国会を閉じるか、9月の党代表選後まで大幅延長して採決を先送りする。輿石氏はこの「両にらみ」作戦を描いているようだが、いずれにしろ首相の意向はないがしろにされている。
首相は1月の施政方針演説で「決められない政治から脱却する」と宣言したが、皮肉にも自らが抜擢(ばってき)した輿石氏こそ決められない政治の「生ける象徴」ではないか。
輿石氏が首相に面従腹背なのも不思議ではない。
日教組出身の輿石氏は野田政権発足までは、保守政治家を自任する首相とは縁遠かった。むしろ消費税増税法案に真っ向から反対する小沢一郎元代表との関係が長く深い。
その証拠に、小沢氏が党財政を握っていた平成19~22年度の4年間で、民主党は、政党の「機密費」とされる組織対策費計9500万円を輿石氏に支出している。
輿石氏を参院議員会長まで引き上げ、今日の地位を築く後ろ盾となったのも小沢氏だ。義理立てするならば首相よりも小沢氏を選ぶことは想像に難くない。
確かに、「現状維持」と「先延ばし」を信条とする輿石氏なのに、小沢氏の党員資格停止処分解除だけは電光石火の早業だった。
輿石氏は4日の内閣改造でも、ちゃっかり我田引水だけを成功させた。参院で目をかけてきた羽田雄一郎国土交通相、郡司彰農林水産相を閣内に送り込み、新参院国対委員長には「イエスマン」といわれる池口修次氏を据えた。輿石氏の参院支配だけはますます盤石となりつつある。
平安時代、近衛天皇は夜な夜な御所に現れるヌエに悩まされ、病となったが、源頼政がヌエを退治するとたちまち回復したという。首相が本当に政治生命を懸けるなら、一つヌエ退治に打って出てはどうか。(産経)
杜父魚文庫

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