賃上げ二倍、中国全土54万人の雇用、先端ロボット稼働工場で挫折か。上海市政府前に二千名が三々五々集まって、突発的に集団化、政府に抗議行動をおこなった模様(6日午后)。
抗議は農地の強制収容に抗議する農民らが組織化したらしい。先月来、とくに上海市普陀区では地元党委員会の不正・腐敗をあばく抗議行動が連続しており、北京に代表が上京して控訴する騒ぎに発展しているが、その関連の抗議行動と思われる。
さて四川省成都の鴻海工場では千名規模の暴動がおきたようだ。
広東省深せんの同社工場では一昨年以来、飛び降り自殺が連続し、合計12名が飛び降り、9名が死亡。この事件は世界的に報道され、工員の賃金値上げラッシュとなった。
過去三年で平均給与は900元から最低2200元、いまは4000元。2013年には4400件平均とすると郭銘台社長は豪語する。
その後も富士康(親会社が台湾系の鴻海精密工業)では、賃上げ要求と待遇改善要求を呑み、他方で中国沿岸部から内陸部へ工場移転という政府キャンペーンにも便乗して四川省の成都へも早くから進出した。
ところが成都では2011年に工場で爆発をおきて三名が死亡、十数名が負傷するという事故が起きた。このためアリババの製品生産などに遅れがでた 提携関係にあるシャープの液晶工場はこの成都に建設され、大量生産の予定。
富士康成都工場にはロボットを大々的に生産現場に導入しており、現在はiPadを大量生産、省力化の典型工場を目指してきた。
シャープの堺工場を事実上買収するのも、この会社の台湾本社(鴻海)の郭銘台・社長である。その富士康の成都工場で労使対立、千名の暴動となって数十名が地元警察に拘束された。乱暴な経営方針ゆえ、従業員も乱暴者が多いということだろうか。
▼液晶ビジネスにも近未来の暗黒が透視できる
iPadブームもいずれは終わるだろう。鴻海のビジネスが未来永劫の発展する理由はなく、げんに5月末速報で、中国の鋼材在庫1561トン、東京ドーム380個分もある。建築ブームが去ったことを物語る。
遼寧省の瀋陽では03年に竣工した中国最大の体育館(緑島体育館、総工費99億円)が「効率悪く、用なし」。「ほかの商業施設に転用が有益だ」との理由で爆破・解体された。建設時、遼寧省のボスは薄煕来だった。ドル箱たった対欧米向けの輸出は言うまでのなく激減している。
景気失速は始まっており、バブル経済は破綻しているが、延命のために預金準備率を過去半年で三回切り下げ、ついに6月7日、中国金融当局は金利を四年ぶりに0・25%切り下げた。
「このような安易な景気刺激策はもっと危険な状況をまねく」(英紙『フィナンシャル・タイムズ』電子版、2012年6月8日、トップ記事)。
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読者の声 どくしゃのこえ 読者之声
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(読者の声)丹羽大使発言ですが、いくら外交音痴の政府でも「あれは政府見解ではない」として北京の丹羽に注意した由です。世論調査では都知事の尖閣諸島購入に95%が賛成、5%が反対。つまり大使は5%の少数意見を代弁し、国益を損ねた。即刻、召還し、更迭するべきだと思います。(JJ生、横浜)
(宮崎正弘のコメント)丹羽発言、華字紙も大きく報道しています。たとえば、本日(8日)の『多維新聞網』は、下記のようです。
「【多?新?】出身商界的日本??大使丹羽宇一郎公然反?日本右翼代表石原??????!),一?成?日本政界中的“?音”,而6月7日日本外?省警告丹羽宇一郎要求其“加以注意”,同?澄清?其言?“不代表政府?解”。
(商業界出身の駐中国日本大使・丹羽宇一郎は日本の右翼の代表である石原(都知事)が尖閣諸島を購入するとしたことに公然と反対を唱え、「これは日本の政治に一時的な雑音である」としたが、日本政府は(この丹羽発言は)政府見解ではないと(丹羽大使に)注意した。
李登輝元台湾総統が「尖閣は日本領」と講演したことも、華字紙各紙はちゃんと報道しています。
杜父魚文庫
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