9883 アメリカの公務員労組が弱くなった 古森義久

アメリカの一連の地方選挙で公務員の労働組合の後退が強烈に印象づけられました。
■【2012 米大統領選】労組の退潮 オバマ陣営に影
■団交抑制や年金削減「歴史的な転換点」
【ワシントン=古森義久】米国では今月、公務員労働組合と対決したウィスコンシン州知事がリコール(解職請求)選挙で勝利を収めただけでなく、カリフォルニア州の2主要都市でも労組の権限や受益を削る提案が住民投票で可決され、労組全般の後退が印象づけられた。
この傾向は大統領選で年来、労組に支持されてきた民主党側を不利にするとみられている。
ウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事(共和党)は2010年の当選以来、州や郡、市当局に勤める職員の公務員労組に対し、全職員の自動的な労組 加入や労組費の自動徴収を排する法律を成立させ、団体交渉権をも抑制して、労組側から激しい反発を受けてきた。知事は膨張する州予算の赤字削減のためだと主張したが、反対派はリコールに必要な署名数を集めることに成功した。
だが、知事は5日のリコール選挙で民主党のバレット候補を53%対46%の票差で破り、労組の攻撃をはね返した。この結果はウィスコンシン州が年来、民主党が強く、労働者の組合加盟率も高いだけに、大きな波紋を呼んだ。
◆主要都市で住民投票
5日には同時にカリフォルニア州のサンディエゴ、サンノゼ両市で、市職員の公務員労組の組合員の年金を削減する提案などへの住民投票が実施され、いずれも可決された。全米でも主要な都市に数えられる両市はともに市予算の赤字が増大、その多くが市職員労組が求める退職者への年金の膨張に帰せられてきた。
この一連の選挙結果について、労働問題を研究するギャリー・チェイソン・クラーク大教授は「全米的に労組が従来のパワーや受益を減らしており、この選挙や投票は労組全体にとっての歴史的な転換点だといえる。全米の労組連合体がウィスコンシン州などの選挙に精力を投入し、完全に敗れたからだ」と論評した。
◆労組メンバー45%減
同州の選挙結果は、全米での一般国民の労組への支持減少や、それを受けての労組員の減少の反映だともいえる。同州ではウォーカー知事が就任してからの2年余で公務員労組のメンバーは45%も減った。
オバマ政権も労働組合の全米規模の支持を得てきたが、大統領自身はウィスコンシン州知事選では共和党知事の勝利を予測してか、現地入りして応援することを避けていた。
だが民主党候補と労組の敗北は大統領選挙での同州の民主党への票の流れを不透明にしただけでなく、全米レベルでの反労組の潮流をも示す不利な材料として懸念され、逆に共和党側では有利な動きとして受け取られている。
杜父魚文庫

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