消費増税法案をめぐる民主・自民・公明三党の修正協議が合意に達したことにより、次の課題は今国会の会期延長問題に移る。成立していない重要法案が山積していることから、八月中旬まで2か月延長する案や、九月上旬までとする案などが検討されているという。
会期延長が決まれば、極端なことをいえば、21日に社会保障と税の一体改革法案を衆院で採決することが絶対条件ではなくなる。民主党内の反増税派を丁寧に説得する時間が稼げる。
もうひとつの要因は、自民党の谷垣総裁は早期の解散・総選挙を諦めていない。これは会期の延長幅と密接に関連している。仮に九月上旬までの会期延長となれば、自民党の総裁選挙日程がからんでくるから、解散・総選挙の要求を諦めざるを得ない。
このことは、早期解散を避けたい民主党の思惑と正面から対立する。民主党にとっては、消費増税で亀裂を生じた党内対立を癒し、野田内閣の支持率があがるまでは首相の解散権を封じたいということであろう。少なくとも輿石幹事長の動きはそれである。
ただ言えることは参院で過半数を持たない民主党は、山積している重要法案を成立させるためには、自民・公明党の協力が欠かせない現実がある。会期延長幅は、長くとも八月中旬まで2か月延長で落ち着く可能性がある。
現状で選挙となれば、自民党は200議席前後まで伸びる可能性がある。一方、民主党は289議席を割り込み、150議席前後まで落ち込むとみられている。選挙は”水もの”だから、軽々な判断は許されないが、会期延長問題は与野党の思惑を秘めて駆け引きが熾烈となるとみていい。
<社会保障と税の一体改革をめぐる民主・自民・公明3党の修正協議は、期限間際の15日夜遅く、合意に至った。これにより消費税増税法案は成立に向け大きく前進したが、今後は民主党内の了承が焦点となる。
民主党の藤井裕久税調会長は「3党で合意ができたということは、これはやはり画期的なことだと思っております」と述べた。
自民党の町村元官房長官は「ぜひ採決をし、そして多分一定の会期延長になるんでしょうけれども、参議院でもまた成立を図ることを期待している」と述べた。
合意された修正案では、消費税の低所得者対策について、税率を2014年に8%に上げる際は「簡素な給付措置」を行うとし、2015年に10%に上げる際は、「給付付き税額控除」と「軽減税率」の双方に言及し、導入を検討するとしている。
一方、民主党の掲げる最低保障年金創設を含む年金制度や、高齢者医療制度などについては、「国民会議」での議論に事実上棚上げし、あらかじめ3党で合意に向け、協議することを確認した。
また3党は、2012年度予算で、基礎年金の財源となる年金交付国債の発行を取りやめ、代わりの措置を講ずることを確認した。
今後、野田首相ら執行部は、会期内の採決に向け、民主党内の説得に取りかかるが、小沢元代表のグループを中心に激しい反発が相次いでおり、党分裂含みの展開となるとみられる。(FNN)>
<政府・与党は15日、社会保障・税一体改革関連法案の修正協議の進展を踏まえ、21日までの通常国会の会期を延長する調整に入った。
8月中旬まで2か月延長する案や、9月上旬までとする案などが検討されている。(読売)>
<野田佳彦首相は16日、消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案の修正で自民、公明両党と合意したことを受け、21日までの今国会会期を延長する方針を固めた。首相は修正案について、同日までの衆院採決に持ち込む考えで、会期延長は、参院でも十分な審議時間を確保して成立を期すのが狙い。延長幅は8月のお盆前までの50日間程度を軸に検討する。
衆院特別委員会で5月中旬に始まった一体改革法案の審議時間は、与野党が採決の前提とする100時間を既に超えている。これに関し、政府高官は16日、「参院でも同等かプラスアルファの審議時間が必要だ」と指摘。また、法案を一括して付託でき、定例日に縛られない審議が可能な特別委員会を、参院でも設置することが望ましいとの考えを示した。自民党幹部も「会期延長はお盆前くらいまでではないか」と語った。
3党合意を経た修正案について、民主党の前原誠司政調会長は首相の意向を踏まえ、18日中に党内の了承を取り付けることを目指す。首相は外国訪問から帰国する20日にも、自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表と党首会談を行い、一体改革法案を含む重要法案の今国会成立や会期延長への協力を求める構え。
ただ、民主党内では小沢一郎元代表や鳩山由紀夫元首相らが、一体改革法案に反対する姿勢を崩していない。中間派にも修正協議で譲歩したことへの不満が根強く、党分裂を懸念する輿石東幹事長が21日までの衆院採決を認めるかが当面の焦点だ。
輿石氏周辺では、会期を延長せずに閉じる案や、9月の党代表選をまたいで年末まで大幅延長して採決を先送りする案がなお取り沙汰されており、会期延長をめぐる首相と輿石氏側の調整も難航が予想される。(時事)>
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