9913 特ダネにタイミングは無い 渡部亮次郎

私のメルマガ「頂門の一針」に対する読者からの「反響」である。
<タイミングが良過ぎるのでは:
週刊文春6月21日号の見出しです。その内容までをここで云々する必要はないでしょう(小沢一郎夫人が選挙区有力者たちに「離婚しました」という手紙を昨年11月に出していた。
私が感心したのは、この記事が登場したタイミングの良さというか何というか、6月14日だったことです。17日朝のTBSで野中広務は「党に復帰したばかりなのだから、あのような行動は党を離れてせよ」と厳しい口調で非難していました。
そういう時期に、既に終わったという説もある小澤一郎という存在に、その終わりの念を押すような記事が出てきたのには感心しております。あの記事には消費税増税の後押しをする勢力が関係しているのでしょうか。そう思わせてくれる「公人の私的な弱みを衝いた」ニュースだったと思わずにはいられませんでした。>
私は若い頃、マスコミの世界にいた(文芸春秋社にも縁があった)ので、この投書には驚いた。この読者は大学を出てアメリカの会社でビジネスマンも経験した、いわば常識豊かな後期高齢者である。
という事は、この投書は案外、私の読者の「常識」になっているかの知れないのだ。マスコミというものを知らない人がマスコミの読者だとすれば、却ってマスコミも注意してかからなければならないのだ。
マスコミは握った特ダネは可及的迅速かに手放さなければならないという鉄則がある。何時あい方にすっぱ抜かれないとも限らないからだ。従って、特ダネをにぎったら、寝かしておく事は不可能なのだ。
今回、週刊文春は小沢夫人が離婚の事実を地元の後援会幹部らに手紙で知らせたらしいという噂は早い段階でつかんでいたようだ。だが、夫人自身が雑誌のインタビューを受けない以上、ネタとして掲載するには、手紙の実物を入手することが、不可欠だった。しかし、筆者が誌上で明らかにしているように、手紙の実物を提供する人物はなかなか現れなかった。
実物を入手できた以上は、可及的速やかに報じた、それが消費増税問題を巡って小沢本人が格別注目されている時期とタイミングが合ったのが真実ではないか。タイミングが合いすぎたので、雑誌側がタイミングを合わせたのではないかと疑う向きが出てきた、仕方の無いことだろう。
重ねていうが、特ダネにタイミングは無い。タイミングを狙って取れるものではない。掴んだらすぐ報道(放送)しないことには、何時、敵(ライバル)にすっぱ抜かれないとも限らないからである。
マスコミと他の業種との違いはこの点にあるかも知れない。
杜父魚文庫

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