民主党の衆参両院議員が出席した合同会議で、前原政調会長が仕切った執行部側は、消費税増税法案などについて自民・公明両党と修正合意した内容を説明、了承を取り付けようとしたが、消費増税に反対する小沢元代表に近い議員らが口々に異論を唱え、会議はいったん打ち切られた。
輿石幹事長にとっては”予定に行動”であろう。丁寧に説明をして、反対論は言わせるだけ言わせる。労使交渉でよく使う”ガス抜き”。日教組出身らしい手法なのだが、いかにも古くさい。
ふっと共同通信労組を相手に八年間、労使交渉に明け暮れた時代を思い出した。政治部出身だから労使の駆け引きに向いているだろうと、労務担当者のお鉢が回ってきたのだが、記事を書くために共同に入ったのだから、私にとっては迷惑このうえもない。
回り持ちだから二年間だけ我慢してやれと、労務担当役員になったばかりの政治部先輩・酒井新二氏から説得され引き受けた。社側のパーテイで福島慎太郎前社長から「労組側の前に席にいるのは、委員長、書記長なのだから、黙って組合側の主張を聞いていろ。後ろの席にいるのは素人の執行委員だから必ず不規則発言が出てくる。それを捉えて激しく反論すればいい」と調達庁長官時代の経験を教えてくれた。
二年目になると、委員長、書記長はじめ執行委員は全部替わる。夏のボーナス交渉は素人組合相手のようなものだから気楽な交渉になった。徹夜団交でガス抜きするコツも覚えた。酒井労担が代わり経済部出身の労担になったのだが、乞われてもう二年労務担当者をやることになったのだが、これが八年間も労使交渉をやることになった。
最後には酒井社長の下で労務担当役員になったのだが、八年間の経験は無駄ではない。いまの輿石幹事長の手法がよく分かる。消費増税で最後まで反対を貫く議員は50人にも達しないであろう。途中で会議を打ち切り、衆院採決を強行しても力関係ははっきりしている。
それでも丁寧な”交渉”を続けるのは、日教組らしい手法といえる。ガス抜きをしたうえで21日に衆院採決をする心づもりなのだろう。会期延長をすれば、21日採決にこだわらず一日か二日先の採決も考えているのかもしれない。
民主・自民・公明三党で法案の修正合意をした以上、勝負はすでについている。自民党は21日採決が前提だと牽制球を投げているが、一日か二日先の採決になっても修正合意をご破算にする度胸はない。かなり古くさい手法だが、輿石手法でいくのは間違いない。
<民主党は18日、消費税増税法案などについて自民・公明両党と修正合意をしたことを受け、会議を開いた。出席した議員からは異論が相次ぎ、了承の取りつけは持ち越しとなった。
約300人の議員が出席した党の合同会議で、出席者からは「合意内容はマニフェストの棚上げだ」などと異論が相次いだ。このため、党の了承を得ることはできず、会議はいったん打ち切られた。
執行部は21日までに法案を衆議院で採決したい考えで、前原政調会長は19日、輿石幹事長と会い、今後の段取りについて協議する予定。
一方、会議終了後、小沢元代表に近い議員ら約40人が会合を開いた。小沢氏本人は出席しなかったが、「法案の採決阻止に向け、頑張ろう」「結束して全員反対を貫こう」といった意見が出たという。(日テレ)>
<消費税率引き上げを柱とした社会保障・税一体改革関連法案の衆院採決について、民主党の小沢一郎元代表グループのうち、反対票を投じる意向の議員が50人規模に達していることが18日、読売新聞の調べでわかった。
法案の衆院可決に影響はないものの、大量の造反票が出れば、野田首相の党運営に痛手となるのは確実。民主党執行部は18日、法案の党内了承に向けた手続きを始めたが、結論を19日に持ち越した。
衆院議長と欠員を除くと、衆院過半数は240。与党の民主党、国民新党に自民、公明両党が加われば430人超になり、約80人いる小沢グループ全員が反対票を投じても衆院可決は揺るがない。グループ幹部は、与党だけで半数(239)に届かなくなる54人以上の反対票を固め、政権を揺さぶることを狙っている。(読売)>
杜父魚文庫
9922 民主党の合同会議で異論がでたが・・・ 古沢襄

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