小沢一郎という政治家のバイタリテイと執念深さは、淡泊な日本人とは異質なものがある。むしろ日本人離れした資質があると思うのは私だけだろうか。
小沢氏の政治手法は目的のためには手段を選ばない”政局屋”そのもので、不動の理念とか基本政策といった大義名分がみられない。”壊し屋”そのものである。壊した後の新しい秩序がないから、もっぱら木に竹を接ぐ離合集散の繰り返しとなる。
石原東京都知事は維新政治塾の入塾式講演で「率直に言って小沢一郎は大嫌いだ。党をつくっては壊し、またつくった。消費税を上げる前にやることがあると言っているが、何をやるのかさっぱり出てこない」と痛烈に批判している。
日本経済新聞社とテレビ東京が22~24日に共同で実施した世論調査で、民主党の小沢氏ら消費増税関連法案に反対し、離党の構えを示していることを「理解できない」とした回答が53%に上っている。
それでも小沢氏は法案に反対し、新党に突き進むであろう。民主党内にあって中から野田政権を揺さぶる限界を覚ったから、党内に残る鳩山元首相ら反野田勢力と呼応し、内と外から野田政権の倒閣を執拗に狙う心づもりが垣間見える。
小沢氏は民主・自民・公明三党による法案の修正合意は出来ないと判断していた。その予測が外れたので、内と外から野田政権の倒閣を図る戦術転換に変わった。だが、三党の修正合意は形を変えた”擬似連立”でもある。この擬似連立は容易に崩れそうもない。
むしろ選挙後は本格的な三党連立になる公算がある。加えて選挙があれば一年生議員が多い小沢新党は壊滅するであろう。小沢氏の目算は再び狂う公算が強い。異能ともいえる小沢氏の政治手法は、ここにきて狂うのではないか。それは小沢政治の終焉を意味している。
<消費税率引き上げ法案などの採決をめぐって、民主党内では、小沢元代表や小沢氏に近い議員に加え、鳩山元総理大臣も反対する考えを表明し、いまのところ反対する議員の数は50台半ばになる見通しです。
小沢氏や小沢氏に近い議員は、離党も検討する姿勢を崩しておらず、反対する議員のうち、離党する議員が、どの程度に上るかが焦点となっています。
消費税率引き上げ法案などをめぐり、衆議院の特別委員会では、25日、野田総理大臣も出席して、集中審議が行われます。
民主党の城島国会対策委員長は、24日のNHKの日曜討論で、26日、委員会で締め括りの質疑と採決を行い、26日中に、衆議院本会議で採決を行う方向で調整を進める考えを示しました。
こうした中、民主党の小沢元代表は、法案の採決で反対したうえで、新党の結成も視野に入れて、離党することも検討する姿勢を崩しておらず、小沢氏に近い議員らは、この週末、地元での街頭演説などで、法案に反対する考えを相次いで表明しました。
また、鳩山元総理大臣は、記者団に対して、「棄権では私自身の考えを国民に正直に伝えることはできない」と述べ、離党はしないものの、法案に反対する考えを示し、民主党内で、反対する議員の数は、いまのところ50台半ばになる見通しです。
仮に▽民主党内の反対した議員のうち、53人以上が離党した場合、民主党は国民新党とあわせても、衆議院で240の過半数を維持できなくなり、また、▽54人以上が離党すれば、少数与党となり、数の上では内閣不信任決議案が可決される可能性も出てきます。
このため、執行部は、造反する議員をできるだけ少なくするため、25日夕方、臨時の代議士会を開いて、野田総理大臣や輿石幹事長が、党の結束を呼びかけることにしています。
また、法案に反対した議員の処分について、民主党内では、除籍処分にすべきだという指摘が出ているものの、幹部からは、個別の法案への対応で除籍処分にした例はないなどとして、厳しい処分は見送るべきだという意見が出ており、反対する議員のうち離党する議員が、どの程度に上るかが焦点となっています。(NHK)>
杜父魚文庫
9962 三党の修正合意は形を変えた”擬似連立” 古沢襄

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